【新車試乗】ホンダ フリード 試乗 独創的な7速DCT採用のスポーツハイブリッドを試してきました

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最近のホンダ車では珍しくフルモデルチェンジに成功したクルマです。

フィットの7速DCT(ホンダはi-DCDと呼称しています)は制御プログラムが何度もリコールとなっていますが、動力性能面ではかなり優れているとの評判ですので以前から試乗したいと思っていました。

ハイブリッド用の7速DCTはドイツのシェフラー社との共同開発ですが、DCTに関しての経験が豊富なシェフラー社と組むこと自体に関しては賢明な判断だったと思います。
ハイブリッドシステムとDCTを組み合わせた複雑なシステムの制御は、おそらくシェフラー社も初めての経験ではなかったかと思いますので、何度もリコールを繰り返してしまったのは残念ですが、シェフラー社、ホンダともに、制御ロジックに関する貴重な知見が得られたことと思います。

今回フリードハイブリッドに試乗して確信しましたが、このハイブリッドシステムに関しては品質面の不安は既に完全に払拭されています。
安心して購入していただいても大丈夫なほどに完成度は高いものでした。
今後は純粋なガソリン車にもDCTを展開していっていただきたいものです。

フィットは6月にも大規模なマイナーチェンジを予定していますので、フィットの試乗はその時にさせていただこうと思っています。
噂の1リッター3気筒VTECターボエンジンを搭載してくるのかは、営業マンに聞いてもまだわからないとの事でしたが、もし搭載されるようであればいち早く試乗してまいります。
驚異的な高出力と低燃費を両立させている新エンジンは非常に楽しみです。
新エンジンと7DCTの組み合わせが実現したら、かなり面白いクルマになりそうですね。

というわけで、かわりにと言っては何ですが、売れ行き好調なフリードを試乗してきました。
同じく7速DCT搭載のハイブリッド車ですので、このパワートレーンの大体のフィーリングは掴めることでしょう。

外観デザイン

評価:★★★

コンパクトミニバンとして最大限の車内空間を確保しなくてはならない制約がありますが、フロント周りはダイナミックな造形です。
フロントフェンダーからバンパーへつながるラインはボリューミーで、このクラスとしては迫力が感じられます。

全体としては無難で万人に好まれることを目指したデザインと思いますが、もう少し遊び心が欲しいですね。
ルノーカングーのようなポップでオシャレな、いい意味で肩の力の抜けたデザインのほうがフリードのコンセプトにはあっているのではないですか?

もはやフリードはホンダの中核モデルですから冒険はできないのでしょうが、失敗を恐れて保守的になりすぎると、ステップワゴンのように逆に芳しくない結果となってしまうこともあります。
ライバルのトヨタシエンタは、僕は全く好みませんがポップで斬新なデザインです。

もっともっとチャレンジしましょう!
ホンダはもともとそういう会社だったはずです。

この試乗車はオプションのエアロバンパーが付いていますので、標準車よりもいかついフロントマスクです。
個人的には、これぐらいのインパクトがあったほうがいいのではと思います。
むしろ、こちらを標準としてもよかったのではないでしょうか。

なぜ日本のミニバン、1BOX車のフロントはいかついデザインばかりなのでしょうか?
マーケティングリサーチに頼りすぎていませんか?
そこからは新しいトレンドは生まれてこないかと思うのですが…

いかつい系のなかでは、トヨタのような常軌を逸した下品なデザインと違って、まとまりとクリーンなカッコ良さが感じられます。

サイドビューもよくまとまっています。
サイドのエッジの効いたプレスラインのおかげで、伸びやかで重心が低く感じられますね。

リアビューは消化不良を感じます。
コンビネーションランプも平凡すぎるデザインですし、その下のエクボのような窪みに、取って付けたかのような違和感が感じられます。

内装

評価:★★★

インパネ周りは上質ではありますが、スイフトデミオC-HRインプレッサで感じられたクラスを超えた高級感はありません。
各部スイッチ類のクリック感も大衆車の域を出ない質感です。
決して安っぽくはないですし、このクルマのコンセプト的にもこれで充分とは思いますが、最近の他社の最新車と比較すると質感の面でもうひと頑張りが必要でしょう。

スイッチ、メーター、センターディスプレイは非常に見やすく操作性は良好でしたが、内装の配色、デザインには遊び心というか、明るさや楽しげな感じが欲しいと思います。

使い勝手の面では素晴らしい出来栄えでした。
今回の試乗車は6人乗り仕様だったのですが、クラスが上の1BOX車と比較しても全く遜色のない居住空間です。
完全にフラットなフロアでウォークスルーが楽々と出来ますし、 3列目シートの居住性は下手な1BOX車よりも上と言っていいでしょう。

なるほど、たしかに「ちょうどいい」クルマです。
好調な販売を維持し続けているのも理解できます。

レジャー用途も想定されるクルマですから、もう少し明るさが欲しいと思います。
フロントシートの掛け心地は可もなく不可もなしと感じられました。
もう少しシート全体でじんわりと包み込むような感じが欲しいところです。

ハンドルは上質な握り心地ですが、標準的な質感と言ったところでしょうか。
インプレッサの感動的な高級感と比べると若干見劣りします。

メーターパネルは表示が細かくて、走行中には少し見えづらく感じられました。
まあ、走行中に見なければならないのはスピードくらいですので、全く支障はありませんが。

インパネセンター周りの操作性、視認性は極めて良好です。

内装全体のデザイン、配色に、もう少し明るさや華やかさが欲しいですね。

居住性、ユーティリティー

評価:★★★★★

「どうしても7人乗りでないと」という方以外は、この6人乗り仕様を強くお勧めいたします。

2列目が独立してスライド可能でアームレストも付いたキャプテンシートとなりますし、3列目シートの乗り降りもウォークスルーで楽ちんです。

また、5人乗りのフリード+は、リアに大人2人が足を伸ばして眠れる完全にフラットなスペースが確保出来ます。
その状態でユーティリティーボードの下に充分な容量のトランクスペースが確保されていますので、国産車の中でも最も車中泊に適したクルマと言えるでしょう。
これはライバルのシエンタにも無いフリードならではの強みです。

こういった、他車に無い機能、明確なコンセプトがフリードが根強く支持されている要因でしょう。

これだけのスペースがあれば、デカい、重たい1BOX車は必要ないのではないでしょうか。

2列目シートを余裕のある配置にした状態でも、3列目シートの足元スペースは充分な余裕があります。

3列目シートは横幅に余裕がありますし、座面のクッションも厚みが感じられるものです。
出来の悪い1BOX車にありがちな平板なクッションではありません。
これならば、6人乗車での長距離移動も快適かと思います。

さすがに6人乗車の状態ではトランクスペースはミニマムですが、この全長でこれほど使い勝手のいいパッケージングは素晴らしいと思います。

3列目シートは跳ね上げ式となります。
5人乗車の状態では、3列目からフロントシートまでウォークスルーできますし、広いトランクスペースも確保できます。

使い勝手は最高です。
このフリードと、アルトワークスS660などのスポーティーなクルマの2台体制が理想的ですね。

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★★

エンジンは高回転まで回してもノート e-POWERなどより、よほど静かで音もスムーズです。
走行中はモーターのアシストをあまり感じさせずに、エンジンが主体で走行しているようなフィーリングとなります。

7速DCTもギクシャク感が全く感じられないほどのスムーズ感で、変速ショックも全くと言っていいほどありません。

ドライブトレーンの滑らかさ、静粛性はクラスを超えた高い次元に達しています。

動力性能ですが、約1.4tの車重に対して総合出力137ps/17.3kgmのわりには体感的には遅く感じられました。

ホンダの7速DCT搭載ハイブリッドは、EV走行時以外は常に2速発進となる事と、あまりのスムーズさのために遅く感じられるのだと思います。
スピードメーターを見ると想像以上の速度となっていたことが度々ありましたので。
期待していたような加速フィーリングではなかったのは残念ですが、このクルマにはふさわしいフィーリングでしょう。

あまりにもスムーズで、クルマに詳しくない顧客にはDCTとCVTの違いが判別できないと思われます。
注文を付けるとすれば、もう少しギアの直結感といいますか、メカメカしい感触があってもいいのかなと思います。
せっかくの7速DCTなのですから、パドルシフトとシフトインジケーター、それからタコメーターも是非付けるべきではないでしょうか。

ハイブリッドシステムも含めた、エンジン、ミッションの完成度は「さすがホンダ!」と感心させられるものでした。

まだ試乗していませんがライバルのシエンタと比較すると、おそらくドライブトレーンの出来では雲泥の差でこちらが上でしょうね。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★★

背が高くて開口部の大きいクルマとしては充分以上の高いボディ剛性です。
充分なボディ剛性が確保されている故でしょうが、リアサスのトーションビームのロール剛性も高すぎずに適度な「しなり」が感じられます。

トーションビームの存在を感じさせないほどではありませんが、この背の高さにしては非常にうまくセッティングされているのではないでしょうか。
細かいローリング、ピッチングもうまく抑え込んでいると言えるでしょう。
これならば3列目シートに乗ってもいいかと思わされます。

あたりは非常にソフトで、初期ロールも大きめなのですが、リアサスにトーションビームを使った背の高い1BOX車(僕の知る限りどのメーカーのどの車種もダメです)とは比較にならないほどに操安性と快適性のバランスが取れています。
普通の乗用車に近い乗り味で、非常にうまいところを突いているのではないでしょうか。

ステアリングはスローですが、コーナーでの回頭性、接地性は想像以上にハイレベルでした。

もう少しステアリングインフォメーションが欲しいのと、ハンドルに伝わる接地感がもう少しあれば申し分のないところです。
おそらくそれよりもステアリングに対するキックバックの遮断を優先したものと思いますが、それはそれで賢明な判断かと思います。

総合評価

評価:★★★★

6人乗り/7人乗りのコンパクトミニバンとしては非常に完成度が高いと思います。
出来の悪い1BOX車よりもこちらを買うべきでしょう。

ユーティリティーも最高ですし、上質な乗り味もノート e-POWERあたりとは比較にならない程にレベルが高いものです。
価格も同程度ですので、フリードを買ったほうがよほど満足度は高いのではないでしょうか。

ただ、動力系、足回りのフィーリングは走り好きの人間には全く響かないものですので念のため。
僕的には、もう少し走りに振って欲しかったと思います。
パドルシフトとシフトインジケーターとタコメーターも付けるべきかと。

グレード的には、価格差を考慮するとガソリン車のほうがコストパフォーマンスが高いですね。
加速性能も若干ですが、ガソリン車のほうが上だそうです。

個人的にも、フリード+のガソリン車は非常に魅力的に思います。
これに乗って車中泊しながら、いろんな場所で釣り行脚をしてみたいですねぇ。

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この記事を書いた人

釣り、クルマ、猫 が大好きなオッサンです。
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