【新車試乗】 ホンダ 2017新型フィットハイブリッド 試乗インプレッション マイナーチェンジ後のフィットの実力は?

目次

最近失速気味のフィットは盛り返せるのか?

2013年9月にフルモデルチェンジで3代目となったフィットが、2017年6月30日に初のマイナーチェンジを受けました。
3代目フィットには、なかなか試乗する機会が無くて今回が初試乗となりましたので、マイチェン前との比較は出来ませんが、他社の現行車との比較も交えながらインプレッションさせていただきます。

今回試乗したグレードはハイブリッドの最上級モデルの「HYBRID・S Honda SENSING」です。
消費税込みの車両本体価格は、2,205,360円となりますのでBセグメント車としては高価な部類です。
内装、外装、安全装備はほぼフル装備ですので、追加でオプションを付けるとしたらナビとETC車載器くらいでしょうが、一番安いベーシックナビ+ETC装着で約251万円、Hondaインターナビ+ETCを付けると約258万円となってしまいます。

フルハイブリッド+7速DCT搭載車と考えても、ちょっとお高くないでしょうかね?
この価格ならばCセグメント車のそこそこいいグレードも買えてしまいます。

参考までにトヨタ アクアで同様装備の場合、安いベーシックナビ+ETC装着で約235万円となります。
日産 ノート e-POWER MEDALISTでは、安いベーシックナビ+ETC装着で約250万円です。
他社も似たり寄ったりの価格と言えますが、どれもお高いですねぇ。

参考までに、上位クラスのCセグメント車の インプレッサスポーツの1.6L を同等の装備にした場合、約220万円となります。
こちらはハイブリッド車ではないですが、このクルマの出来の良さを考えると非常に悩ましいところです。

果たして、2017年型フィットハイブリッドは、この価格に見合うだけのクルマなのでしょうか?
僕なりの見解を記させていただきます。

外観デザイン

評価:★★★

初代フィットが登場した時は、当時としてはインパクトのあるデザインでしたが、2代目は初代の大ヒットを受けて恐らく失敗を恐れたのでしょう、保守的で無難なデザインとなりました。
2代目も決して悪いデザインではなかったと思うのですが、「革新のホンダ」らしくない面白みのないデザインと感じられました。

3代目の現行フィットは、ホンダなりに自己反省もあったのでしょう、革新的、かつ大胆なデザインでありながら、全体の塊感やクリーンさも感じられる秀逸なデザインであったと思います。

「革新のホンダ」はかくあるべしと感心させられたものです。
非常に完成度の高いデザインでしたので、マイナーチェンジ時は苦労するだろうと思っていましたが、最近のホンダデザインのアイデンティティを取り入れつつ、うまくまとめてきたように思います。
恐らく一般の顧客にはマイチェン後のデザインのほうが受けがいいでしょう。
ですが、僕はマイチェン前のほうが断然いいと思うんです。
コンパクトカーらしいプレーンでポップな道具感、全体の統一感は今回のマイチェンで薄まって、普通のクルマのデザインに近づいてしまったように思います。

マイチェン前のデザインを維持しつつ、上質感、高級感を高める方向性でいったほうが良かったのではないでしょうか?

故に星3つとさせて頂きます。

フロントフェイスは最近のホンダ車のアイデンティティに沿ったもので、グレイスやヴェゼルとよく似たデザインです。
スポーツ系のグレードは、このように若干いかついデザインとなります。

マイチェン前のポップでクリーンなデザインと比べると、余計なギミックやラインが多くてごちゃごちゃしているように感じます。

分かりやすいスポーティー感、押し出しの強さはありますが、このフロントデザインは3代目フィットのデザインコンセプトにマッチしていないように思うんですが。

フロントフェイスだけが、いびつに浮いてしまっているように感じられます。
一般的にはこちらのほうが好まれるのでしょうがね。

サイドビューは従前から、いいデザインと思っていましたが、フロントバンパーの出っ張りが全体のバランスを崩してるんじゃないでしょうか。

リアは前期型とあまり変わっていないように思います。

前期型から感じていたのですが、僕的にはリアタイヤとコンビネーションランプの間のリアフェンダーのラインが気に入りません。
エッジ部分とリアタイヤとの間が距離があり過ぎて鈍重に感じられます。

内装

評価:★★★

高級感はありませんが、マイナーチェンジを受けて、かなり質感は上がっているように感じられます。
さすがに、インプレッサ や デミオ にはかないませんが、 ノート e-POWER よりも圧倒的に質感は上です。

前期型はすこし安っぽさが感じられたのですが、上級グレード故でしょうか、見違えるほど上質になったように感じられました。

ステアリングの握り心地、本革の質感も上々です。

シフトレバー周り、サイドブレーキは少し安っぽく感じられますね。

インパネの本革のステッチ調の整形は、前期型ではかえってみすぼらしく感じられたのですが、今回は本革っぽく感じられました。

高級感はありませんが、Bセグメント車としては上々の質感と言っていいでしょう。

居住性、ユーティリティー

評価:★★★★

4mに満たない全長で、これほどまでに広大な車内空間を実現しているのは凄い事だと思います。
後席で大人がゆとりをもって過ごせますし、トランクスペースもこのクラスとしては広大と言えます。
このパッケージングは素晴らしいものです。
このフィットは、非常に実用性が高いクルマと言えます。

フロントシートはホールド感も上々で、体重をシート全体で分散してじんわりと支えてくれるもので、非常にいい出来と感じられました。

リアシートの足元も実に広々としています。

このクラスでは最も広いトランクスペースではないでしょうか。
ちょっとしたワゴン車並みです。

リアサスのアッパーの部分の出っ張りがもう少し小さければ最高だったのですが。
これさえなければ満点です。

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★★

エンジン、トランスミッションは基本的には前期型からのキャリーオーバーですが、7速DCT搭載のハイブリッドの制御ロジックは、最新のものにアップデートされているようです。

以前試乗した、フリードハイブリッド と同様に、ギクシャク感、違和感は全く感じられませんでした。
ゆったりと走っている分には、いつギアチェンジしたのかも分からないほどのシームレスな加速感です。

ただ、発進時と中間加速時に、グッとペダルを踏み込んだ場合に、いざ望む加速が得られるまでに、ほんの少しのタイムラグがあります。
決してストレスとなるほどのものではないのですが、「人車一体感に溢れた意のままの走り」とまでは言えません。
この点が、走りの楽しさを少しだけスポイルしてしまっているのが残念です。
恐らくギクシャク感を出さないように、穏やかな制御にしているものと思われますが、スポーツ系グレードに関しては、モード切替があっても良かったのではないでしょうか。

深くアクセルを踏み込むと少しばかりのラグの後、強力な加速Gに襲われます。
車重が200kg以上も重い フリードハイブリッド とは比べ物になりません。
シートバックに背中を押し付けられるほどで、コレは、ちょっとしたターボ車並みの加速です。
この加速感は非常に爽快でした。
エンジン音もホンダ車らしい「クォーン」という快音で、速度上昇に伴う高揚感がしっかりと感じられます。

この種のドライビングプレジャーは、シリーズハイブリッドの ノート e-POWER では決して味わうことが出来ないものです。

参考までに、試乗動画も是非ご覧ください。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

若干の加速ラグと、せっかくのパドルシフトがありながらシフトインジケーターが無い点が残念ですが、非常に出来のいいパワートレーンであると思います。
高速道路のロングツーリングは、快適で爽快でしょうね。

余談になりますが、今回のマイナーチェンジでは、噂の1リッター3気筒直噴VTECターボエンジンは搭載されませんでした。
次の4代目フィットでは間違いなく積んでくることでしょうから、今から非常に楽しみです。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★★

今回試乗した最上級グレードの「HYBRID・S Honda SENSING」には、特別な遮音対策が施されているそうです。
実際の試乗でも、クラスを超えた高い静粛性が感じられました。

足まわりのフィーリングは、基本的にはドイツ車的な「ゴツゴツ系」なのですが、サスペンション支持部の補強が功を奏しているのか、非常にアシが良く動いて快適な乗り心地でした。
大きな段差もストローク豊かに軽やかにいなして、ボディの揺れは最小限です。
リアサスのトーションビームの悪癖も全くと言っていいほどに感じられませんでした。

さらに付け加えますと、表現が難しいのですが、いなしの際の質感が非常に上質です。
乗り心地に雑味が感じられないとの表現がふさわしいでしょうか。

これは非常にレベルの高い足回りです。
決して峠を攻めたくなるようなアシではなく、ロングツーリング向きの安定志向かつ重厚なセッティングなのですが、車両本体価格も、燃費も同程度の ノート e-POWER とは全く次元が違います。

この価格帯のハイブリッド車をご検討中の方は、ご購入前に、ぜひ比較試乗をお勧めします。

僕が好む軽快な乗り味ではなかったので、星4つとさせていただきますが、下手な高級車を上回るほどの上質な乗り味には驚かされました。

総合評価

評価:★★★★

まだアクアは試乗していませんが、おそらく同クラスのハイブリッド車のなかでは断トツの出来栄えでしょう。
ひさびさにホンダが本気を出した時の凄みを感じました。

これでもう少し価格が安かったら満点なのですが、パワートレーンもボディ周りもしっかりとコストが掛けられているようですので、やむなしといったところでしょうか。

価格に見合うだけの価値は、自信を持って保障いたします。

ただ、コレを購入する前に、7月12日に発売のスイフトのストロングハイブリッドも是非一度試乗してみて下さい。
方向性は全く違いますが、こちらも真剣に欲しくなるほどに魅力的なクルマでした。
後ほど記事にさせていただきます。

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この記事を書いた人

釣り、クルマ、猫 が大好きなオッサンです。
皆様のお役に立つ情報をお届けしてまいります。
お気軽にコメントくださいね。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして。
    本州最北端に住んでいるKuraと申します。
    夜分遅くに大変申し訳ごさいません。

    色々記事読ませていただきました。
    私は車好きですが、エンジン、車の歴史等の細かい事は分からない奴なので、やまねこ様の見識にはただただ脱帽の極みでございます。
    良いところ悪いところハッキリ書いていただけるので、とても読んでで面白いですし参考になります。
    特にエクステリアの考えは、私も同感な部分が多いなと感じました。多分ですが。。。

    そんなやまねこ様にお願いがあります。
    今年5月にマイナーチェンジされたHONDA JADEの試乗レビューをお願いいたします。
    RS・Honda SENSING
    HYBRID RS・Honda SENSING
    出来れば両グレードを試乗していただき、レビューして頂きたいです。
    4WD設定無し
    RSにはシートヒーターの設定無し
    フロントワイパーデアイサー無し
    エアコンが左右独立設定無し
    など、車格が下で何かと比べられる、SHUTTLEよりも装備が簡略化されており、北国で乗るには少々我慢を強いられる車となっておりますが、私的にはとても気になる車でございます。
    他にも電動パーキング無し、AACが停止までサポートされてないなど車格に対して残念な部分も目処ちますが。。。

    ですが私の居住地近くには、試乗車がありません。
    同県にHYBRID RSの試乗車はありますが、RSに至っては隣県まで出向かなくては行けません。
    『気になるなら行けよ…』
    と言われればそれまでですが。。。
    差し出がましいお願いで大変恐縮なのですが、やまねこ様の見識のレビューが読みたいのです(>人<;)
    北国での使用等は関係なく、やまねこ様視点のレビューを読みたいのです。

    お忙しいのは重々承知しておりますが、何卒お願いできませんでしょうか。
    本当にお時間のある時で構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

    本当に夜分遅くに長々と駄文を申し訳ありませんでした。
    今後の活動も応援させていただきます。

    • Kuraさん、はじめまして。

      非常にご丁寧なコメント頂きまして、恐縮の極みです。
      そんなにお褒め頂いたら天狗になっちゃいますよ~(笑)

      ご返信遅れてしまいまして、ご無礼ひらにご容赦ください。
      このところ、仕事とプライベートで超多忙状態でして本当に申し訳ありませんっ!
      貧乏暇なしとはまさにこのことです(笑)

      HONDA JADEとは…
      Kura さんもよほどの好きもの…
      もといっ!よほどのクルマ好きと推察します。
      実は僕もJADEは非常に気になっていたんです。
      低重心でリアサスも独立式。
      シャシーは恐らく8代目シビックがベースでしょうか?
      シビックは出来のいいシャシーだっただけに、走りのフィーリングには非常に期待が持てそうです。

      いついつまでにとはお約束できないのですが、近日中に必ず2グレード探して試乗してまいります。
      肌寒くなるころまでには何とかしますっ!
      暫しお待ちくださいっ!

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