【新車試乗】 スズキ バレーノXG 試乗 予想外の出来栄えにビックリ!

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スズキ バレーノXG 試乗記

2016年3月に発売されたバレーノに試乗してきました。
インド生産ではありますが、エンジン等、基幹部品は国内生産ですので「準国産車」といったところでしょうか。
街中でほとんど見かけることが無く、メーカーの目標月販台数も僅か500台ですので、あまり力の入った営業もしていない様子です。

前回試乗した新型スイフトRStのレギュラー仕様と、バレーノXTのハイオク仕様のフィーリングの違いを比較すべく試乗に赴いたのですが、XTは既に他の販売店に移動となっていたようで、試乗車は1.2リッター4気筒エンジン搭載のXGしかありませんでした。

僕が以前所有していた2代目スイフトのエンジンも同じK12型エンジンでしたが、エンジン、ミッションの動力系に関してはあまりいい印象を持っていませんでした。
エンジンは静かでスムースでしたがトルク感が無く、CVTの特性も回転の上昇が先行して速度の乗りが悪く、いわゆる「ラバーバンドフィール」も感じられ、ダイレクト感に乏しいものでした。

3代目スイフトのXSを試乗した時も、ボディ剛性、足回りの出来栄えには舌を巻きましたが、エンジン、ミッションは改良されてはいたものの相変わらず悪癖は残っていましたので、今回のバレーノXGには全く期待していませんでした。
どうせいつもの「K12とCVTの退屈なフィーリング」だろうと…

外観デザイン

評価:★★★★

初めてバレーノの写真を見たときは「カピバラみたいでヘンテコなデザインやなぁ」と思ってました。
でもなんだか心に引っかかるというか気になっていて、初めてスーパーの駐車場で実車を見たときには衝撃を受けました。
「フランス車みたいなセンスで、凄くお洒落でカッコイイ!」
そう思ってしまったんです。

どの角度からどう眺めても流麗で美しく、他のどのクルマにも似ていません。

これだけオリジナリティのあるデザインでありながら、無意味なプレスライン、キャラクターラインは一切ありません。
抑揚がありながらも、シンプルで全体の統一性が感じられる素晴らしいデザインであると思います。

ただ…ひとつだけ気になる点が…

フロントグリルの「S」のエンブレムが大きすぎる気がするのと、銀色の「S」の外に黒いプラスチックの外枠があるのが僕には無粋に感じられます。
ここまでお洒落なデザインなのに、この部分のセンスはいただけないのではないでしょうか?

これさえなければ満点だったのですが…
星4つとさせていただきます。

フロントはボリューム感が感じられます。フロントフェンダーからサイドへの流れるようなラインが特に美しいと思います。

控えめなプレスラインが光の明暗で彫刻のように浮かび上がります。迫力がありながら美しさも感じられるフロントフェイスです。

サイドラインも流れるようで美しく感じられます。国産車離れしたデザインですね。

車高が高く見えないよう、うまくデザインされているかと思います。

僕的には、この角度からが一番美しく、カッコよく感じられます。

欧州フォードか、シトロエンにも似たテイストを感じます。

このクルマの後ろを走っていると、すごく幅広く背が低く見えます。

フロントの「S」エンブレムも、こんな感じだったら良かったのですが…

内装

評価:★★

このクルマの最大の弱点です。

メーターパネル、インパネ上部の樹脂の質感は高いのですが、空調スイッチ周りの質感は最低です。
20年前の軽自動車クラスの質感と言ってもいいでしょう。
上級のXT、XSになるとこの部分はオートエアコンになって標準的な質感にはなりますが、それでも高級感は有りません。
他のスイッチ類のクリック感も新型スイフトと比べると「いいもの感」が感じられません。

バレーノのメイン市場はインドですので、現地では合理性のみが求められるのかもしれませんが日本市場では通用しません。
早急な改善が必要です。

常に視界に入る部分ですので、この質感はいただけませんね。

インパネの樹脂の質感はまずまずなのですが…

メーターパネル、シフト周りは充分なクオリティです。操作感もカッチリとしています。
このクラスでは珍しく、ハンドルのテレスコピック調整が付いているのは素晴らしいです。
フロントシートの掛け心地、サポート性は充分満足のいくものでした。

居住性、ユーティリティー

評価:★★★★

全長4m未満のコンパクトなボディでありながら、後席の居住性、トランクスペースはかなりの余裕があります。
新型スイフトと比べて、明確なアドバンテージがあります。

大人4人での乗車や大きな荷物を積む機会が多い方は、バレーノは有力な候補となりうるのではないでしょうか。
これ以上の空間となりますと、かなりのクラスアップとなります。

身長175cmの僕がドライビングポジションを調整した状態で、後席はかなりの余裕があります。足が組めるほどです。これなら大人4人が乗っての移動も苦にならないでしょう。

奥行、幅共に充分に広いトランクルームですが…

なんとっ!ラゲッジボードを取り外すと、深さが増してさらに広大なスペースとなります。

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★★★

バレーノに試乗して、いちばんビックリさせられたのは動力性能です。

先代スイフトまでのK12型エンジンとCVTの組み合わせで感じられた、モッサリ感、ラバーバンドフィール、発進加速、中間加速の遅さが完全に解消されています。

いわゆる「アクセル操作に対するツキがいい」と言えるもので、どの領域でも充分なトルク感があり、意図通りの気持ちのいい加速感です。
エンジン回転数と速度上昇の違和感も殆ど感じられずに、ミッションのダイレクト感もトルコン式に劣らないほどです。

デュアルインジェクションになってからのK12C型エンジンは今回初めて運転したのですが、以前とは別物と言ってもいいくらいに低、中速トルクが太く感じられました。

もちろん新型超軽量シャシーによる軽量化の恩恵も大きいでしょうが、僕の記憶しているK12型エンジンとは吹け上がりのフリクション感の少なさなど、かなりの違いを感じました。

パワーウエイトレシオが、ちょうど10.0となりますので当然ではありますが、このクラスでは「早い」と言ってもいいほどの動力性能です。

日本国内で、これ以上の性能が必要なシチュエーションはほぼ無いと言ってもいいでしょう。高速の合流なども余裕でしょう。

このK12C型エンジンのブリッピング動画をご覧ください。
吹け上がりの鋭さ、フリクション感の無さ、レスポンスの良さはスポーツカー用のエンジンに匹敵するほどです。
ここまで進化していたとは驚きでした。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★★

新型スイフトと同一の超軽量新型プラットフォームを使用していますが、スイフトと同様、充分な剛性が感じられます。
交差点やカーブを早めの速度で曲がっても、ボディがしなるような頼りなさは一切ありません。

新型スイフトでも感じたのですが、フロントタイヤが路面にべったりとくっつくかのようなフィーリングで非常に回頭性が高いです。
それでいて直進安定性も良く、余裕のある動力性能も相まって、流れの早い幹線道路も非常にリラックスして運転できました。

リアのトーションビームの悪癖も、試乗した限りでは感じられませんでした。

ただ、新型スイフトと比較すると、段差の「いなし」に、ほんの僅かですが雑味が感じられました。
故に星4つとさせていただきます。
恐らく新型スイフトでは、新型プラットフォームの熟成がより進んでいるのでしょう。

コーナリングではあまりロールを許容しないセッティングですが、段差でも揺すられ感が無くサスペンションが良く動いている感触です。
新型スイフトと同様、乗り心地と操安性が高い次元でバランスしていると思います。

総合評価

評価:★★★★

内装の質感がもう一歩というところですので星4つとさせていただきますが、
予想に反して素晴らしく出来のいい、コストパフォーマンスの高いクルマと思いました。

なぜネット上の試乗記(プロの自動車評論家が執筆したもの)でネガティブなものが多いのか理解に苦しみます。
やはり今のスズキは小型車のクオリティでは頭一つ抜きんでていると思います。
(決して僕はスズキの回し者でも関係者でもないです…)

皆様も百聞は一見にしかずですので、ぜひ一度バレーノ、スイフトあたりを試乗してみて下さい。きっと他社とのクオリティの違いに驚かれることでしょう。

バレーノを購入の際は、エンジンは1.2リッター自然吸気で充分でしょう。
グレードは最上級のXTとほぼ同様の装備内容となるXSがオススメです。
かなりの豪華装備で154万円はバーゲンプライスでしょう。

ちなみに同様の装備の他社のクルマは、

マツダ デミオ 13S Touring 168万円
トヨタ ヴィッツ 1.3U“Sportyパッケージ” 195万円
ホンダ フィット 13G・Sパッケージ 166万円
日産 ノート メダリスト X 162万円

と、どれもお高いですねぇ。

おまけに走行性能で比較対象になりうるのは、恐らくデミオとフィットだけでしょうね。
近日中にデミオとフィットの試乗もしてまいります。

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この記事を書いた人

釣り、クルマ、猫 が大好きなオッサンです。
皆様のお役に立つ情報をお届けしてまいります。
お気軽にコメントくださいね。

コメント

コメント一覧 (11件)

  • フロントグリルの「S」のエンブレムはイマイチですよねぇ。
    ただ、ここにはアダプティブクルーズコントロール用のミリ波レーダーが埋め込まれているので、この大きさも仕方が無いのだと思います。

    • 貴重なご意見ありがとうございます。

      なんと!
      ミリ波レーダーが埋め込まれていたせいだったのですね。
      知りませんでした…
      別体でミリ波レーダーがグリル内に存在するのと、あのデカエンブレムと、どちらがスマートに見えるのか?
      悩ましいですね。

      また是非コメントくださいね。
      とっても勉強になりました。

  • 長く乗るならやっぱり1.0XTターボですよ。経済性重視なら1.2ですが。車好きで趣味なら1.0ですよ。

    • ななしさん、こんにちは!
      コメント頂いてありがとうございます。

      確かに1.0直3ターボのほうが動力性能は格段に上ですから、そちらのほうが楽しいでしょうね。
      おまけに実用燃費もほとんど差が無いか、状況によってはターボモデルのほうがいいかもしれません。
      このあいだのマイナーチェンジでレギュラー仕様になったことですし、積載性も考えると、スイフトRStだと厳しい方はバレーノの1.0XTが狙い目かもしれませんね。

  • バレーノのデザインを『昭和』といった販売店の小娘がいたそうですが、昭和にはこんな車ありませんでしたよ!センスがない連中が揃っていますねぇ‥
     バレーノは、前々から気になっていた希少種です。現在の乗用車が13年目になりましたので、今年、バレーノを買おうと思います。

    • vocaldiscordsさん、コメント頂きましてありがとうございます。

      いやいや、「昭和のデザイン」はもっと平面的でしたねぇ。
      当時は3次元的なデザインの確認はクレイモデルでおこなっていたかと思いますが、現代においてはコンピューター上の3Dモデルでいろいろと試せますから、昔よりもいろんなアイデアが試しやすくなったのだと思います。

      日本でバレーノのような、粋なセンスのクルマが売れないのは悲しいことです。
      この価格帯の国産車の購買層は、パッソのような無難なデザインを求めているのかもしれませんね…
      もしもこのクルマにシトロエンのエンブレムが付いていたら、もっと注目されて売れていたかもしれません。
      そういえば、スズキと業務提携しているトヨタの販売店でもバレーノを売るそうですね。
      そうなると希少車じゃなくなってしまうかもしれませんよ~(笑)

  • 貴重なご意見ありがとう。
    じつは、先月たまたま群馬県館林近辺をトラックで運転中に右車線に、あまり見かけない車が並走しました。
    なんだデザインがとても気になり、リアを見ると何とSUZUKIのマーク、、、???
    かなり昔に雑誌か何かで見たような気がしました。
    いま、ヴィツから乗換を検討中でしたので、バレーノに替えるかも。
    なかなか記事がないのでこの記事はとても参考になります。

    • キットさん、コメント頂きましてありがとうございます。

      そうでしょ?!
      公道で見ると「どこの外車?」って感じで、ハッとさせられますよね。
      小粋なフランス車って感じです。
      僕はメタリックカラーのオレンジのバレーノが非常に気に入っています。
      そのバレーノを見かけたときはお洒落なマダムが運転されていたのですが、「素敵だな~」と見入ってしまいました。
      ヴィッツから乗り換えされるのでしたら、トヨタから販売されるのを待ってもいいかもしれませんね。
      そのほうが下取りの条件が、多少は良くなるように思いますので。

      • 新型が出るようなので楽しみです。トヨタからでれば、願ったりかなったりですな。

  • 罪な記事書くな~。XS買ってしまった。
    一度ヨーロッパ車乗りたいと探してたらこの記事。実車見て決めてしまった。
    それもシルバー、予定外の色、良い色です。
    トヨタ行っても売れないでほしいな(笑い)

    • ゴーさん、コメント頂いてありがとうございます。

      そうですか!
      買っちゃいましたかバレーノを!!
      すんばらしいチョイスだと思います。

      XSなら装備も充実してますし、他社の同クラスと比較しても圧倒的に軽量ですから、実用燃費もかなりいいのではないかと思います。
      シルバーもバレーノには凄く似合いますよね。
      いいなぁ~。

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