【新車試乗】 トヨタ ルーミー/タンク G-T 試乗 パッソベースの3気筒とシャシーで大丈夫?

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トヨタ ルーミー カスタムG-T 試乗記

2016年11月に販売されたトヨタのルーミーに試乗してきました。
グレードは1リッター3気筒ターボエンジン搭載のカスタムG-Tです。

グループ会社(というか実質は子会社)のダイハツが製造していまして、 兄弟車にタンクがあります。
グレード構成は全く同じで、主にフロントフェイスが違うだけです。
さらにダイハツからはトールの名前で販売されています。(あーややこしい!)

ちなみに僕は筋金入りのアンチトヨタ人間です。
最近では2代目ヴィッツ、2代目パッソ、初代アリオン、3代目プリウスを運転する機会があったのですが、どれもこれも酷い出来に感じられたので、すっかりトヨタ嫌いになりました。

<2代目ヴィッツ>
ガーガーうるさいガサツなエンジン。
これで4気筒?掃除機みたいな音がします。
踏み初めにグッと飛び出すアクセル特性、切り始めだけクイックでリニアじゃないハンドリング、ペナペナのボディ剛性、ブッシュだけ柔らかくて全然ストロークしない突っ張ったサスペンション。
ロードインフォメーションも希薄で怖いです。
運転していて気持ちよく感じられた瞬間が全くありませんでした。

<2代目パッソ>
2代目ヴィッツの駄目なところを更に増幅した酷い出来。
特に3気筒エンジンはガラガラと耕運機のような悲惨な音がします。
二度と運転したくないクルマです。

<初代アリオン>
この時期のトヨタ車の駄目な特徴を全て兼ね備えたクルマ。
4速ATも25年前の出来。
内装だけ豪華にしていれば顧客を騙せると思っていたのでしょうか?
同時期のホンダアコードなどは全く次元の違う出来でした。

<3代目プリウス>
トヨタ車の駄目な要素は引き継いでいますが、全てが上質にはなりました。
ただし運転していて全く楽しくない!
ボディ剛性もリアサスのトーションビームの出来もまだまだ駄目でした。

トヨタもバブル前後の時期はとてもいいクルマを作っていたと思います。
当時営業でAE110型のカローラに乗っていたんですが、ボディはしっかり剛性感があって、サスペンションストロークもたっぷりとしていて、ロードインフォメーションも濃厚にありました。
次元は違いますが、VWゴルフのような頼りがいのあるテイストでした。

なぜトヨタ車はこんなに駄目になってしまったのか?

僕はマーケティング至上主義と市場原理主義が原因と思っています。
マーケティングに則れば、走りの良さを求める顧客は少数派ですから切り捨てて、その分の予算を内装や装備の豪華さに割り当てるべきとなりましょうし、顧客満足よりも株主利益、決算の数字のみを追求すれば、走りの良さを切り捨てて利益率を高めるべきとなりましょう。

前置きが長くなりましたが、ルーミー/タンクはスズキが開拓した市場を後出しじゃんけんでごっそりとかすめ取ろうとの浅ましい魂胆で、なおかつパッソのコンポーネンツを流用してお手軽にローコストででっち上げたクルマであろうと僕には思われました。

このブログは今まで絶賛記事ばかりでしたので、(スイフトなどは実際に素晴らしかったんですが…)
「バランスを取るために低評価の記事も必要だな」
「あのエンジンとシャシーでまともなクルマになっているわけがない」
と思いつつ、試乗に赴いたのでした。

外観デザイン

評価:★

最初におことわりさせていただきますが、完全に僕の主観ですので、現オーナーさんや購入を検討されている方はお気を悪くされないでくださいね。

すみませんが僕には全く理解不能のデザインです。
このクルマのデザインからは何も感じることが出来ません。
このデザインのどこかに美しさとかカッコよさがありますでしょうか??

意味不明のギンギラギンのでかいグリルは、機能的にデザイン的に何の意味があるのでしょうか?
まあ、このデザインもマーケティング的には正解なんでしょうね。

販売上の要請でこういったデザインにせざるを得ないのでしょうね。
実際にこのてのデザインのクルマが売れていますから…

ここまでグリルの開口部が大きいと冬場はオーバークールになりませんか?
バンパーも意味をなしていません。

サイドビューは何の変哲もありませんが、まあまとまってはいます。

この下回りのエアロが無くても成立するデザインにしましょう。
高い縁石で擦っちゃいますので。

内装

評価:★★★★

このクラスとしては質感は高いです。
もちろんインパネは全面ハード素材ですが、パッと見で本革のように見えます。
質感の出し方が非常に巧みです。
デザインは直線基調ですが、このクルマのキャラクターにマッチしていて落ち着いたいいデザインです。

各部のクリック感も高級感が感じられます。
今までのトヨタ車のようなあか抜けないセンスと比較すると、上質感が感じられ好印象でした。

フロントシートもコシがありつつ柔らかく、体重を「面」で支えてくれるもので出来は良いほうと言ってもいいでしょう。
あれ?…おかしいなぁ?…こんなハズでは…

質感は高いですが、革のステッチ調の成型(もちろんフェイク)は、僕的にはかえって貧乏臭く感じられます。

居住性、ユーティリティー

評価:★★★★★

このクルマの最大のセールスポイントです。

リアシートは前後に左右分割スライド、後席足元への格納、背もたれを倒してフルフラットなど多彩なアレンジが可能です。
趣味や仕事などあらゆるニーズに柔軟に対応可能です。

各部の収納スペースも非常によく考えられた使い勝手のいいものでした。

一番後ろまでリアシートをスライドさせると、広大な膝まわりのスペースとなります。

トランクスペースもリアシートを前にスライドすれば広大なスペースとなります。ただ、リアサス周りの横の出っ張りが邪魔です…

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★

エンジンは初代パッソから使われている1リッター3気筒の1KR-FEをターボ化した1KR-VETです。
スズキのK10Cは直噴ですが、こちらは通常のポート噴射となります。
ですが、圧縮比はK10Cの10.0に対して1KR-VETは9.5と、ポート噴射のターボエンジンとしては非常に頑張っています。

2代目パッソを運転したときには安っぽい3気筒サウンドと、アクセルペダルにも感じられる盛大な振動とノイズに辟易とした記憶がありましたので、試乗前には、
「少々のモディファイではどうにもならないだろうな。」とか、
「まあ、フニャフニャのエンジンマウントと大量の遮音材でごまかしているだろう。」
と思っていましたが、いざ公道に繰り出してみたところ…

あれれ…そんなに…悪くない…

アイドリングは静かですし、加速時のエンジン音も角がとれたまるい音で、高回転まで回すと三気筒らしい「ガー」という音が高まりますが、マイルドで不快な音質ではありません。
吹け上りもスムースで、アクセルレスポンスもまずまずいいです。

これは間違いなくエンジン本体の根源的な改良が大幅になされています。
以前とは全くの別物です。

スイフト用のK10Cとの比較では、静かさ、滑らかさはK10Cのほうが上で、レスポンスは1KR-VETのほうが若干上でしょう。

短いですがブリッピング動画もご覧ください。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

ミッションもラバーバンドフィール、回転上昇とスピード上昇の違和感があまり感じられないものでした。ダイレクト感もまずまずあります。

ただ、スズキの新型超軽量プラットフォーム搭載車と比べると、いざ必要な加速が得られるまでにタイムラグが感じられます。
スイフトRStバレーノXGの、アクセルペダルとタイヤが直結しているかのような意のままの加速感と比べると明確に劣ります。
のんびりと走る分には問題ありませんが…

やはり車重の影響は大きいですね。
基本設計が古いエンジンとシャシーでは分が悪いようです。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★

足まわりはソフトであたりは柔らかいのですが、段差でもあまりボディが揺すられません。
ボディ剛性が充分あるのでしょう。
サスペンションがよく動いてうまく衝撃を吸収しています。
全体に走りに一本芯が通っている感覚を感じました。
ハンドル操作に対しての曲がり具合も、スローではありますがリニアでした。

これは間違いなくいいクルマの乗り味です。
(ゆっくりと走る分にはですが)

うーん…
いったいトヨタに何があったのか?

従前のトヨタ車にありがちな、フニャフニャの腰の無い足回り、ペナペナのボディ剛性、リジッドサスのような乗り味のトーションビーム、初期応答だけ過敏なハンドリングとアクセル。
これらが全て影を潜めています。

総合評価

評価:★★★

アンチトヨタの方で、このてのクルマを探しておられる方は、食わず嫌いにならずに是非一度試乗してみてください。

僕の想像ですが、最近発売されたトヨタ車は全て、走り好きの豊田章男社長の厳しいチェックが入っているものと思います。
以前のトヨタ車とはまるでデキが違います。
まあ、企画・開発はダイハツと思いますが。

非常に使い勝手が良くて、のんびりと走る分には乗り味も良いです。

他社との比較で価格が高すぎるのと、デザインが好みではないので星3つとさせていただきますが、予想外にいいクルマでした。
爆売れしているのも理解できます。

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この記事を書いた人

釣り、クルマ、猫 が大好きなオッサンです。
皆様のお役に立つ情報をお届けしてまいります。
お気軽にコメントくださいね。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • やまねこさん、はじめまして。 ルーミーの納車待ちをしている者です。
    売れ行き好調なルーミーですがネット民の間では随分不評ですね。 やまねこさんが様々な車に試乗されている中で、意外にもルーミーは好評なので少し驚きました。 ボクもルーミーには何度か試乗して、ロックアップこもり音やエンジン1.5次振動など、実はあまり良い印象ではなかったのですが、ライバルのS社は何台も不具合に遭っているのでルーミーにしました。 最新の振動解析技術によると3気筒の1.5次振動は理論上完全キャンセル出来るそうですが、ダイハツの実力はまだ追い付かない感じですね。 ところでCVTの輪ゴム感、あれこそがCVTの真骨頂なのですが嫌いですか。 確かに速度と回転数がリンクしないと、実際は速いと言われても気持ち悪いかもしれませんね。 ガソリン車の燃費トップのアルトも5ASGではなくCVTの方なんですよね。 CVTメーカーも折角良いものを作っても嫌われ者なので頭抱えてるみたいです。

    • DAMAさん、はじめまして。
      コメント頂きましてありがとうございます。

      僕もルーミーの試乗前は「どうせ駄目グルマだろ」と先入観満載だったのですが、予想外の出来の良さに驚きました。

      エンジンも軽自動車も含めた3気筒エンジンのなかでは、かなり出来がいい方だったのではないかと思います。
      ボディ剛性、サスペンションの出来も想定外にいい物でした。
      収納スペースもシートアレンジも非常によく考えられていて、実用車としては申し分ない出来栄えと思います。
      DAMAさんのチョイスは正解なのではないでしょうか。
      ただ、僕的にはデザインがどうしても馴染めないんですが…(^^ゞ

      僕はCVTで速度と回転数がリンクしないのは当然だと思います。
      エンジンの最も効率のいい回転数を使って適宜ギア比を変更して走行するのがCVTの利点ですので。
      ただ、アクセルを「グッ」っと踏み込んだ時に、ギア比が一気に下がって最も加速力の得られる状態になった後に、ドライバーの意図をくみ取ってギア比を上げていって速度上昇につなげる制御となるかと思いますが、その時の速度の上がり具合に「加速力はあるのに速度の乗りが悪いな」などと違和感が感じられるのが嫌な点ですね。
      最近のCVTはかなり違和感が無くなってきていると思いますが。

      僕が「ラバーバンドフィール」と表現しているのは、ベルトとプーリーの間のスリップが大きいかのように感じられる感覚です。
      どのメーカーも最近はかなりスリップ感が無くなってダイレクト感が増してきていますね。
      CVTだからと言って先入観で毛嫌いするのは間違っているかと思います。
      原理的には最も理想的なミッションですので。
      DCTにもデメリットはありますしね。

  • やまねこさん

    ギョーカイのものです。
    おそらく国産車であれば新旧合わせて何千台…もうひと桁足りないかもですが…たぶんわたしはあなたより遥かにたくさんのクルマに乗って査定してこの目で見てきた人間だと思っております。
    そうでないなら謝ります。
    あなたはアンチを公言しておられるのですから真っ向から反論するつもりはありません。
    わたしもトヨタ(ダイハツ共同開発)の3気筒1KRエンジンについてかねてから疑問に思っている1人ですし、アリオンヴィッツのご意見にも賛同できるところがあります。
    しかしアンチトヨタをお名乗りになるにはちょっとサンプル数が足りないのでは?と思いました。
    世の中にはあなたが挙げた車種よりも、もっとどうにもならない、販売店泣かせなクルマがもっとたくさんあります。トヨタにも。

    ちなみにAE110系は平成以降で私が知りうるカローラのなかでは商業的にもっとも辛かった車両でした。大ヒットしたAE100系からのコストダウンっぷりが凄かったです。
    …て言うとわたしの素性がバレますね(笑)
    NZE120系が、造り、価格のバランス、セールス面のどこから見てもわたしが一番好きなカローラでした。今でもそう思います。

    脱線しました。
    わたしが言いたいのは、わざわざアンチトヨタと公言なさらなくても、あなたのその鋭い感性で1台1台を是々非々で見ていただくのが良いのではないでしょうか?

    • GRさん、ご返信遅くなりまして誠に申し訳ありませんm(__)m

      貴重なご意見いただきまして、誠にありがとうございます。
      確かに仰る通りで、少ないサンプル数でステレオタイプ的にメーカー全体を断じるのはよろしくなかったですね。

      ただ、今の豊田章男社長以前は、クルマ造りに対する情熱の欠如といいますか、マーケティング至上主義に毒されていたのは確かだったのではないかと思います。
      現社長下では、非常に感銘を受ける車が多くなってきましたので、やはり自動車メーカーのトップの知識、知見、情熱といったものは、出来上がってきたクルマの出来にも直結してくるんだなと感じています。

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