10代目シビックの出来栄えを徹底解説!
2017年9月29日に発売されたばかりの、10代目新型シビックのハッチバックを試乗してまいりました。
グレードはモノグレードで、ハッチバックのCVT車となります。
8代目のFD型から実に7年ぶりの国内復帰となるわけですが、グローバル市場に対応したボディサイズは、もはや「アコード」と名乗ってもいいほどの大きさです。
僕と同世代の中年オヤジには、「ホンダ」や「シビック」に対して強烈なシンパシーを持つ人間も多いかと思います。
僕もその中の一人ですが、もはや日本国内は以前のようにシビックが大量に売れるような状況ではありませんので、肥大化もやむなしといったところです。
むしろ国内販売してくれただけでも、良しとしなければならないのかもしれませんね。
大事なのは「シビック」と名の付くクルマにふさわしい志が宿っているか?
このクルマから熱きホンダスピリッツを感じることが出来るのか?
ですので。
ちなみに、僕は今、7代目のEU型シビック に乗っているのですが、この型のシビックから目に見えて国内の販売台数が激減してしまったように思います。
7代目の5ドアハッチバックは、ハッキリと申し上げますと失敗作だったと思っています。
ボディ剛性が低くて、せっかくの出来のいいシャシーとサスペンションを活かし切れていなかったのがなんとも悔やまれます。
この走りに落胆したシビックファンは、かなりおられたのではないでしょうか?
8代目のFD型では、キレキレのシビックらしい走りが戻ってきたのですが、ボディタイプがセダンのみだったことが致命的だったのでしょう、もはやシビックファンは戻ってきませんでした。
離れてしまったシビックファンはどこに行ってしまったのでしょうか?
僕はインプレッサやアクセラ、フィット、スイフトあたりかと思います。
という事は、今回の10代目の出来如何では隠れシビックファンが戻ってきて、意外なヒットモデルとなる可能性もあるかもしれません。
外観デザイン
評価:★★★★★
これぞ革新のホンダデザインです。
非常に斬新でスポーティーなデザインと言えます。
攻撃的で、ダイナミックかつアグレッシブなのですが、決して下品に見えずに、上品さや高級感も感じられるところが凄いと思います。
ごちゃごちゃとした余計なギミックや無駄なプレスラインなども無く、張りのある面で構成されたデザインは、見事に全体の調和が取れています。
5ドアハッチバックでありながら流麗なクーペのようなフォルムで、純粋に「凄くカッコいい!」と思いました。
初めてEG型シビックを見たときの衝撃と感動が思い出されます。
クルマ全体から、ただモノじゃない、まるでスーパーカーのような凄みのあるオーラがひしひしと感じられました。
このクルマを運転していると、周囲の注目を集めること間違いなしです。
それも、好奇の眼差しではなく羨望でしょう。
このデザインだけでも「買い」ではないでしょうか。
文句なしの星5つ、満点です。
このクルマのデザインテイストからは、マイナーチェンジ前の現行フィットと似通ったものを感じます。
もしかしたら、同じデザイナーが関わっているのでは?
大迫力のフロントマスクです。
こんなクルマに後ろに付かれたら速攻で道を譲ってしまいそうです。
それでいて下品な感じはしません。
不思議ですねぇ。
全幅が2mくらいに感じられるほどの、ワイド&ローなフロント周りです。
フロントフェンダーの盛り上がりが、かなりダイナミックですが、他の部分に自然に繋がっていて突飛な印象はありません。
ヘッドランプのグラフィックがフェンダーに溶け込んでいく部分が、素晴らしくスポーティーに感じられます。
これはカッコいい!
どの角度からどう見ても、カッコ悪く感じられる部分が全くありません。
これは凄いデザインです。
相当に練り込まれています。
サイドビューも完璧です。
フロントに負けない、リアフェンダー周りのダイナミックな造形も非常にうまくデザインされています。
ボディサイドの上下のプレスラインも、スピード感、流麗さを見事に表現していて、フェンダーとの繋がりも自然です。
素晴らしく流麗で美しいデザインです。
これほどまでにリアフェンダーの盛り上がりがありながら、全く鈍重な印象が感じられません。
完全にクーペのデザインですね。
ですが、何者にも似ていない画期的な斬新さです。
5ドアハッチで、こんなデザイン見たことありますか?
デザインを見ただけで欲しくなるクルマって、なかなか無いです。
この10代目シビックは、予想に反して売れそうな気がしてなりません。
内装
評価:★★★
惜しい!
実に惜しいです。
ドライビングポジションはスポーツカーのように低く、かなり高さがあるセンタートンネルですので、いい意味でタイトな包まれ感、コックピット感があります。
クルマのキャラクターともマッチしていて、スポーティーな気分を盛り上げてくれるものです。
ですが、肝心のセンタートンネルの両脇の樹脂の質感が低いのと、インパネセンターのディスプレイ周りの素材の質感が、車格に対して低すぎます。
ここは早急に改善が必要でしょう。
インパネは、かなりの部分がソフトパッドですが、この部分の質感ももう一歩と感じられました。
インパネのデザイン自体は、スポーツカーのようで非常にカッコイイとは思いますが…
あとは、非常に問題ありと感じたのが、液晶メーターです。
フレームレートが低いのか、タコメーターの針の動きがカクカクしていて滑らかさがありません。
これも早急に改善が必要です。
フレームレートは感覚的には、現状で秒間20フレームくらいに感じられました。
スポーティーな雰囲気、走りを売りにするクルマですから、最低でも秒間60フレーム、出来れば秒間120フレーム欲しいところです。
外観の完璧さと比較すると、内装には所々に煮詰め不足が感じられます。
各部スイッチのタッチやクリック感は、車格に見合った上質なものでした。
内装のデザインは非常にスポーティーなもので、気分を高めてくれます。
固めですが、ふんわりと体全体を包んでくれる感じもあって、出来のいいシートと思います。
シート表皮の質感は、もう少し高めたいところです。
ステアリング径、握り心地ともにスポーティーな雰囲気を盛り上げてくれる骨太なものです。
センタートンネル、インパネセンター周りの質感は、車格に見合った改善が必要でしょう。
シートポジションはスポーツカー並みに低いです。
年配の方は、購入前に実車で確認されたほうがいいかと思います。
充分に許容範囲なのですが、外観のカッコ良さに比べると平凡な内装です。
居住性、ユーティリティー
評価:★★★★
ボディの全高は低いですがシートポジションも低いので、ヘッドルームは前席、後席ともに充分な余裕があります。
もともと、体格が大柄な欧米人向けに開発されたクルマですから、クーペルックの外観からは想像できないほどに車内は広々としています。
身長175cmの僕がフロントのシートポジションを合わせた状態です。
足元は充分以上のゆとりがあります。
5ナンバー車に比べて、横方向も体感できるほどにゆとりが感じられます。
トランクスペースも広大です。
ちょっとしたワゴン車並みの余裕があります。
走りの評価 (エンジンとミッション)
評価:★★★
こちらも煮詰め不足が感じられます。
CVTのダイレクト感は 現行インプレッサ に一歩譲ります。
また、加速時にエンジン回転が先行する感覚が明確に感じられて、回転数の上昇と速度の上昇がリニアにリンクしません。
パドルシフトで疑似的なステップシフトをしても、トルコン式やDCTほどのダイレクト感はありませんので、外観に見合った高揚感のある加速感は得られません。
(あくまで感覚的にということです)
しかしながら、スポーツ走行をしようと思ったら物足りないというだけで、ごく低回転域から図太いトルクがあって日常域で力強いですし、フル加速時も「速い」と言えるだけの動力性能を持ち合わせています。
ゆったりとした余裕のあるGTと考えると出来はいいかと思いますが、スポーツカーのような外観に見合った走りを期待されますと、肩透かしとなりますのでご注意ください。
そういった走りをお求めの方は、迷わず6MTを選択すべきでしょう。
あとは、こちらも感覚的な部分なのですが、L15C型直噴ターボエンジンの音質がもうひとつと感じられました。
実用車然とした音で、これほどまでにスポーティーな外観のシビックにはマッチしていないように思うんです。
同じL15型エンジンでも、フィットなどに搭載されている自然吸気版のものは、非常に気持ちのいい甲高くて乾いたサウンドを奏でてくれるのですが、ターボ版となると「グワァーン」といった音質になってしまうのは何故なんでしょうか?
NA版のほうは、ハイカム/ローカムの切り替え機構があるVTECですが、ターボ版のほうは連続可変バルブタイミング調整のみで、カムの切替機構が付いていないことが原因なんでしょうかねぇ。
参考までに、試乗時の動画も是非ご覧ください。
僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。
走りの評価 (足まわりとボディ)
評価:★★★★
凄まじい剛性感です。
まるでボディ全体を金属の塊から削り出したかのような剛性感で、大きな段差に遭遇してもボディはミシリとも言いません。
この新開発プラットフォームのポテンシャルは恐ろしく高いものです。
さすが、タイプRを前提に開発されただけの事はあります。
恐らく世界的に見ても、Cセグメントではトップクラスの剛性感ではないかと思います。
サスペンションはスポーツカー的なゴツゴツとしたフィーリングなのですが、スムースにフリクション感無くストロークして、全く不快感がありません。
段差のいなしの質感は極上で、ボディのフラット感は凄まじく高いです。
この乗り味は、完全に高級車の領域です。
僕の知る限り、このシビックの足元にも及ばない高級外車は結構あります。
また、アジャイルハンドリングアシストの効果が絶大で、FF車であることが信じられないほどの異次元の回頭性を持ち合わせています。
コーナリングの際の接地感も凄まじく高いものです。
ですが…
惜しい!非常に惜しい!
「ゴー」というロードノイズが耳につく(高級車として見るとですが)事と、段差をいなす際のゴトゴト音が少し大きめです。
これらが無ければ、最高の乗り味なのですが残念です。
シャシーのポテンシャル自体は非常に高いと思いますので、今後の改良に期待です。
本当は星5つが妥当かと思うのですが、辛辣ではありますが星4つとさせていただきます。
総合評価
評価:★★★★
現状でも相当に次元の高い出来のいいクルマです。
僕が煮詰めが甘いと指摘した点も、それを差し引いてあまりあるだけの長所がありますので、現状でオススメできる出来栄えではあります。
ですが、僕が指摘した点が全て改善されたとしたら、これはもう世界一素晴らしいクルマになると言っても過言ではないです。
今購入されても決して後悔はされないことでしょうが、いましばらく熟成を待つというのも手ですね。
この新型シビックは、久々にホンダらしい、シビックらしいクルマでした。
飛びぬけて素晴らしい点がありながら、詰めの甘い部分が残っているというのもシビックらしくて、個人的には微笑ましく感じられます。
仮に僕が購入するとしたら、ハッチバックの6MTで、今回は前方排気になっていたかと思いますのでエキマニを交換して、ホイールハウス周りの遮音対策を施すでしょうね。
おっと、今どきのエンジンですので、ヘッド一体のエキマニかもですね。
コメント
コメント一覧 (8件)
やまねこさん、こんにちは。
やっと新型シビックに試乗する事が出来ました。ボディの剛性感が半端ないですね。ドアを開閉でも重量感が凄いです。ドライビングポジションも低くてスポーティな割には前方の見晴らしが良く運転しやすいです。試乗車はCVTで、エンジンは低速からパワフルでターボのクセは感じられずに自然でした。6MTを試乗してみたいのですが、6MTの試乗車は皆無に等しいくらいありません。ハッチバック6MT車の購入割合は4割くらいと結構多いので、ホンダファンが待ち望んでいた車ではないのでしょうか?
ただ、ハッチバックはイギリス生産なのか、ハイオクガソリン仕様になってしまいます。(セダンは国内生産でレギュラーガソリン仕様)また、納期が今注文したら来年4月以降、TYPE Rは来年8月以降になるそうです。
確かに、新型シビックは久々にホンダらしい車です。少々詰めの甘さもありましたが、それもホンダらしくてよろしいのではないのでしょうか?(笑)
シビックは日本カー・オブ・ザ・イヤーを4度も受賞したという、同車名最多受賞です。このシビックで5度目の受賞になるのでしょうか⁉︎
全幅は1800mmもありますが、インプレッサやアクセラはそれに近いサイズなので、Cセグメントでは標準的なのでしょう。次期カローラも3ナンバー化されるという噂もあります。
私の希望としては、このエンジンをBセグメント(フィットでは車高が高すぎるので車高の低い車を新規に開発して)に搭載して、スイフトスポーツのライバル車として登場してほしいと思います。
あ さん、こんばんは!
遂に新型シビック試乗されたんですね。
久々に、在りし日のホンダらしいとんがったクルマだったと思います。
普通に考えると、ハイオク仕様ですし、支払い総額300万越えですので売れる要素は無いんですが、やはり根強いホンダファンが待ちわびていたのでしょう、予想を遥かに超える売れ行きになってますね。
スイスポの対抗車、あ さんと全く同感です。
EGシビックと同程度のサイズで、リーズナブルな楽しいクルマを出してもらいたいところですよね。
この1.5リッター直噴ターボエンジンはかなりトルクフルですので、軽量な車体に搭載したらかなり面白いクルマになりそうです。
残念ながら、新型シビックは日本カー・オブ・ザ・イヤーにはノミネートされなかったので受賞は無いですね…。N- BOXはノミネートされていますが…。
このシビックのエンジンを積んだCR-Xが復活してくれたらいいな、と思います。
CR-X イイですね~。
昔のようなショートホイールベースで、是非復活して欲しいです!
4輪ダブルウィッシュボーンだったりしたら最高ですね。
やまねこさん、初めまして。
近々車を乗り換えようと、インプレッサやXV、アクセラスポーツなどを候補に挙げて比較検討をしておりましたが、妻の愛車(CR-Z)のメンテのために訪れたホンダディーラーでシビックを試乗してしまい、1時間後には予約のための審査書を書いておりました。
どちらかと言えば、インプレッサの方がデキがいいのですが、シビックにはそれを超えたわくわくさせる何かがありました。外観と言えばそうだし、エンジンの盛り上がりと言えばそうかもしれない。車幅が180cmもあるのに、運転しているととてもコンパクトに感じるところかもしれない。結局自分ではわからないところで決めてしまいました。車選びって、理詰めなものも必要ですが、最後の一押しは感覚的なものなんだなあと自らの身をもって思い知った次第でした。(笑)
しかし、しかししかし、12月に予約したのに、納車は8月下旬(涙)それまで首をながーくして待ってるしかありません。
ふにゃ太郎さん、はじめまして。
コメント頂いてありがとうございます!
そうなんですよねぇ。
どちらかと言えばインプレッサのほうが隙が無い作りで、全体的な完成度は高いと思うのですが、シビックにはなにか、突き抜けて惹かれる部分がありますね。
特にスタイルは、まるでスーパーカーのような凄みのあるオーラが漂っていて、その点はシビックの圧勝だと思います。
エンジンの性能もシビックの圧勝ですね。
シビックはハンドリングも、ボディの大きさを全く感じさせないシャープなものですし(この点はインプレッサもかなりのモノですが)、ふにゃ太郎さんの言われるように、運転していて凄くワクワク感があるクルマですね。
ふにゃ太郎さんは、非常にイイ買い物をされたのではないでしょうか。
きっと人生を楽しくさせてくれる素晴らしいパートナーになってくれると思いますよ。
羨ましいです!
それにしても、8月下旬納車とは!!
こりゃあ、待ちきれませんねぇ。
新型シビックは、想像以上に売れているようですね。
Wow! Thank you! I constantly wanted to write on my site something like that. Can I take a portion of your post to my blog?
Nice to meet you.
Thank you for commenting.
Please do use my articles freely.