4台目の愛車は会社支給の社用車でした。
新たに勤め始めた会社で、仕事用、自家用としてギャランの新車を支給して頂きました。
当時はまだバブルの残り香があり、こんな厚遇が実際にあったんです。
確かVR-G ツーリングという上級グレードで、当時はまだ珍しかったカーナビまで付いている豪華仕様でした。
非常に有り難いことだったのですが。
当時の三菱が社運をかけたGDIギャラン。
いま思えば、このクルマから三菱の凋落が始まったのではないでしょうか。
とにかくカタログ馬力とか世界初とかにこだわり過ぎて開発を急ぎすぎたのでしょう。
圧倒的に煮詰めが足りないクルマでした。
「世界初ガソリン直噴エンジン」の称号を得るために、当時の経営陣が販売を強引に急がせたという裏事情がどうやらあったようです。
実際にはメルセデスベンツが、もっと以前にガソリン直噴をやってたんですけどね。
後に、燃焼室内にカーボンが堆積してノッキング、エンストのクレームが多発してました。
結局、直噴リーンバーンで燃費向上を狙うのは無理があったようです。
Nox(窒素酸化物)の浄化のために高価な触媒を使う必要もあったようですし。
現在主流のエンジン負荷に応じたアトキンソンサイクルとオットーサイクルの切り替えが、費用対効果の面でも最適解なのでしょう。
三菱はGDIエンジンにこだわり過ぎたおかげで相当顧客を減らしたのではないでしょうか?
実際に運転してみても、
・低速トルクが薄くてアクセルの踏み込み量が増えてしまい、結局燃費は従来車と変わらない。むしろ悪い。
・4輪マルチリンクのわりにコーナリング性能、直進安定性が悪い。
・軽量化にこだわり過ぎたためかボディ剛性が低く感じられる。
など、とても愛着の持てるクルマではありませんでした。
ピークパワーが150馬力有っても低速トルクが無ければ乗りづらいだけですし、ボディ剛性が低ければ4輪マルチリンクも持ち腐れです。
三菱はそれまで質実剛健なクルマ造りが持ち味で僕もその点に魅力を感じてたんですが、このクルマには非常に失望させられました。
ギャランらしさのあるデザインは好みだったのですが、骨太な造りの先代、先々代ギャランの足元にも及ばない稚拙なクルマでした。
余談になりますが、当時の三菱には「何十人もエンジン工学の博士がいる」と言われ、今になって燃費向上のためにアウディなどが気筒休止エンジンを作っていますが、三菱は何十年も前に既に実用化しています。
さらに、最近各社がフリクション低減の為に採用しているローラーロッカーアームも三菱は何十年も前から大衆車にまで搭載していました。
ホンダのVTECも原型は三菱の気筒休止技術とも言えなくもありません。
バランサーシャフトも三菱の発明なんですよ。
当時のポルシェも欲しがった技術です。
いくら技術陣、開発陣が凄くても、経営陣が無能では現場が報われません。
会社が絶頂にあるときにこそ自社の強み弱みを冷静に分析して、奢らずに地に足の着いた経営をしていたら、今頃は日本第2位の自動車メーカーになれていた可能性は充分にあったと思うだけに非常に残念でなりません。
当時のOBの方々も無念に感じておられることでしょう。
岩崎弥太郎も草葉の陰で泣いてますよ…
ちなみに、シャレードデトマソは兄貴に強奪されて北海道に旅立ちました。
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