【新車試乗】 スズキ 新型ジムニー試乗 最高最強のオフローダー!

目次

こだわりと執念が造り上げた傑作車!

二十年ぶりのフルモデルチェンジを受けて、2018年7月5日に発売となりました新型ジムニーを試乗してきました。
グレードは最上級の XC の5速マニュアル車です。

初代から数えて4代目となる今回の新型は、先代から実に20年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。
僕自身はジムニーマニアではありませんので語れるほどのウンチクは無いですし、先代ジムニーを小一時間ほどしか運転したことがありません。

その時の感想は、「さすがに4輪リジッドサスだと乗り心地は厳しいな…エンジンもガサツでターボラグが盛大にあるし、ラダーフレームだけあってボディの一体感が無いなぁ…」
といった、ネガティブなものでした。

しかしながら、舗装路のみを走行するユーザーがファッション感覚で乗るには適さないクルマだったと思いますが、大量の積雪路や山奥の道幅の狭い林道を頻繁に走行するユーザーにとっては、無くてはならないオンリーワンのクルマだったと思います。
超コンパクトなボディにラダーフレーム、前後リジッドサスを搭載したクルマは日本のみならず世界中でもジムニーだけです。
恐らく悪路走破性に関しては、ぶっちぎりで世界一でしょう。

一般的にはライバルと目されていたパジェロミニなどは、フロントサスが独立式ですし、ボディもフレームが追加されてはいましたが、基本的にはモノコックですので本格的なオフローダーとは言いがたく、悪路走破性はジムニーの圧勝だったと思います。
オンロードではパジェロミニのほうが快適で上質な走りだったのですが、やはり本物が支持を得て生き残ったという事でしょうね。

今作は、果たして20年分の進化が感じられたのか?
短時間の試乗でしたが、出来る限りエンジンもトップエンドまで回して、ハンドリングも感覚を研ぎ済ませて確認してきました。

外観デザイン

評価:★★★★★

ジムニーのアイデンティティを現代風に昇華させたデザインは完璧です。
完璧すぎて文句の付けどころがないほどです。

先代は曲線や曲面を多用しすぎて、ジムニーとしては弱々しさが感じられるデザインだったと思うのですが、今作は初代や2代目をイメージさせられる力強いものとなっています。

ダイナミックな曲面などは一切使用されていませんし、ウインドウグラフィックやプレスラインも全体的に直線基調です。
これが実にジムニーらしいワイルドさ、逞しさをうまく表現していて、先代よりも車格感や存在感は大幅に向上しています。

どの角度からどう見ても素晴らしくカッコいいと思います。
とても軽自動車には見えません。
僕自身の好みもあるのですが、これは文句なしの星5つ、満点です。
ひさびさにデザインだけで購買意欲をそそられました。

実に存在感があって男前なフロントマスクです。

ボンネット高があって、フェンダー部やフロントエンドをラウンドさせていないので、非常にボリューム感が感じられます。

ボンネットが長いぶん室内長は短いのですが、そのおかげで軽自動車とは思えない程の伸びやかなプロポーションです。

全体の塊感も感じられます。

ボディサイドの直線基調のプレスラインのおかげで安定感も感じられます。

これぞ「本格派オフローダー」といったデザインですね。

今までのジムニーで感じられた、コロっと転がりそうな腰高感はありません。
リアデザインにも安定感が感じられるようになりました。

ジムニーシエラも展示してありましたが、こちらもオーバーフェンダーが効いていて大迫力のデザインでした。

うーん、カッコいい!
でも、山奥の細い林道を走る時は、このオーバーフェンダーが邪魔になりそうですね。

内装

評価:★★★★

デザイン、配色共に非常にハイセンスです。
ジムニーらしさ、オフローダーらしさを実にうまく表現できています。

非常に高度な出来なのですが、ボディと同色の加飾パネルをあしらうなどの遊び心も欲しかったと思います。
故に星4つとさせていただきますが、実に使い勝手が良く、ワクワク感も感じられて素晴らしい出来栄えなのではないでしょうか。

ぱっと見は軽自動車とは思えない程の質感です。

デザイン的にもワイルドさがうまく表現できています。

シートはクッションの厚みも感じられて非常に掛け心地のいい物でした。
サポート性も上々です。
これならば、相当な悪路でも腰が痛くなったりすることは無いでしょう。

ステアリングはシャフト径、皮の材質、デザインの全てが完璧です。

空調スイッチはスイフトのものでしょう。
意外なことに、ジムニーの内装に実にマッチします。

インパネのプラスチックの質感は、シボの彫りが浅く少し安っぽく感じられましたが、これはアウトドアユースを想定して、汚れの付きにくさに配慮したものかもしれません。

決して陳腐な感じではありませんが、ドアの内張りも同様の印象です。

やはりアウトドアユースを想定して、スイッチ関係に水が掛からないように配慮されています。

ウインドウスイッチもセンターに配置されています。
これは素晴らしい配慮です。
シフトレバーはオフローダーらしい長さと角度で好感が持てました。

悪路脱出用に副変速機も装備されています。

居住性、ユーティリティー

評価:★★★

さすがにスーパーハイトワゴンのような広さはありませんが、基本的に二人乗りまでで使用するクルマであると思いますので、そう考えると実用性は良好です。

フロントシートとリアシートを倒してフルフラットにも出来ますので、二人まででしたら車中泊も可能です。

切り立ったサイドパネルの恩恵でしょうか、フロントシートは軽自動車とは思えないほどの横方向の余裕が感じられました。

リアシートは足の位置に対して座面が低いので、基本的には緊急用です。
それでも昔のジムニーと比べると、非常に立派なシートです。

長距離でなければ普通に過ごせると思います。
足元も意外と余裕があります。

リアゲートは横開きとなります。
上開きのほうがいいのでしょうが、スペアタイヤを抱えていますので…

リアシートを起こした状態ではトランクスペースは極小です。

リアシートの居住性を考えると、こうするのが正解でしょう。
リアシートを倒すと広大なラゲッジスペースとなります。

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★★

先代の K6A型エンジンから、新型では R06A型エンジンに換装されました。

先代は極低速トルクが不足していたように思いますし、ターボラグも盛大に感じられました。
フィーリング面でもバタつくようなガサツさが感じられ、回転フィールも滑らかさがありませんでした。
エンジン音も、とても快音と言える類のものではなかったように記憶しています。

その先代のネガが、この新型では全て払拭されているといっていいでしょう。
全くターボラグが感じられず、回転フィールも実に滑らかで、エンジン音にいたっては気持ちのいい快音と言える音質となっています。

R06A型エンジンも熟成が進んできたのでしょうか?
当初は少し安っぽさも感じられるようなフィーリングがあったのですが、
最新のものは クロスビー や スイフト などに搭載されている3気筒の K10C型エンジンに対しても全く引けを取らない上質さとなっています。

アイドリング+αから実に頼もしい低速トルクが感じられますし、高回転もトルクの盛り上がりと共に高揚感が感じられて、非常に楽しく感じられました。

シフトフィールが節度感が無くてイマイチと感じられ、ギアの入りも少し渋かったのが残念です。
あまりカチカチとしたシフトフィールはオフローダーにはふさわしくないのは理解できますが、もう少しシフトチェンジが楽しくなるようなフィーリングとして頂きたかったところです。

故に星4つとさせていただきますが、運転が非常に楽しく感じられるような、ワクワクするような素晴らしい出来栄えでした。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★★★

一番ビックリさせられたのは乗り味です。

ラダーフレーム車であることを全く感じさせられないほどにクルマ全体の一体感が感じられ、サスペンションのストロークもたっぷりとしていながら、コーナーでの不安感も全く感じられません。

乗り心地も実に上質で、バタつくような感触があった先代とは全くの別物です。
非常に洗練されて上質でありながら、運転が非常に楽しく感じられました。

ただし、路面が荒れている場所ではフロントサスペンションが車軸式ですので、ハンドルがとられるような動きが出ます。
こればかりは本格派オフローダーの宿命と言えるものですので、これも「味」と考えたら充分に許容範囲と思います。
そのおかげで強力な悪路走破性を実現していますので、特に雪国の方はその恩恵にあずかる機会も多いのではないでしょうか。

よくぞここまでの乗り味を実現できたものだと感動させられました。
高級感すら感じられましたし、軽自動車とは信じられないほどの頼もしさも感じられます。

実際の走行フィールは、こちらの動画をご覧ください。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

総合評価

評価:★★★★★

開発スタッフのジムニーに対するこだわりと執念、そして深い愛情が感じられるクルマです。

先代の登場から20年間にわたって蓄積してきたノウハウ、知見、ユーザーの声を全て投入して造り上げたであろうことが、このクルマの出来からは感じられました。

この新型ジムニーは、街中メインでファッション的に所有される方にもオススメできますし、特に雪国の方にはオススメします。
よほどのことが無い限り、このクルマでスタックしてしまう状況は無いでしょう。

軽自動車としては高価と感じられる方もおられるかもしれませんが、専用のラダーフレームを採用した贅沢な設計のクルマとしては、逆にリーズナブルに感じられます。
生産台数も少ないようですので、乗り換えの際の値落ちも少ないのではないでしょうか。

現時点では完璧と言える完成度で、恐らく悪路走破性では世界中を見渡しても右に出るものは無いでしょう。
これは日本の宝、誇りと言えるほどの珠玉のクルマです。

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この記事を書いた人

釣り、クルマ、猫 が大好きなオッサンです。
皆様のお役に立つ情報をお届けしてまいります。
お気軽にコメントくださいね。

コメント

コメント一覧 (7件)

  • 私も7月7日に新型ジムニーに試乗しました。SJ30、JA71(インタークーラー無しターボ)、JA11、JB23の運転経験があります。
    やまねこさんはシフトフィールは節度感が無くてイマイチと仰っていましたが、私的にはシフトストロークが長すぎず短すぎず許容範囲だと感じました。2代目のSJ30〜JA22迄はシフトレバーがトランスミッションにダイレクトに繋がっており、その為にシフトレバーが斜めに生えており、少々操作しづらかったです。あと2代目は、シフトレバーのブッシュ劣化による、シフトレバーがグラグラするという持病を持っており、ジムニーのプロショップでは「リペアキット」を販売している程です。先代のJB23は少ししか運転したことがありませんが、静粛性、乗り心地は進化したように思います。JB23のトランスファーはレバー式から途中でボタン式に変わりましたが、新型は再びレバー式に戻した所が良いと思います。お金が有ればN-BOXと2台持ちして、大型スポーツバイクと、250ccのオフロードバイクを持ちたいです。N-BOXは最低でも10年は乗って、人生最後のクルマとしてジムニーを所有したいと思います。

    • あ さん、こんにちは。
      超多忙な日々が続いてまして、ご返信遅くなりました。

      そうですね。
      シフトフィールは決して悪くないのですが、ここまで上質な乗り味になったのなら、シフトフィールももう少しスイスポのような「スッ」っと吸い込まれるような感触のほうが良かったんじゃないかと感じました。
      現状でも先代よりもずっと洗練されてると思うのですが…

      僕も新型ジムニーかシエラは本気で欲しくなったんですが、現状で僕が置かれている状況では買えないんです。
      非常に残念です。

      • ジムニーの年間目標販売台数は15000台、シエラは1200台と、N-BOXの月間販売台数にも及びませんが、ラダーフレームなど特殊な構造で他車との共通部品が殆ど無いのでコストが掛かり生産性も悪いので仕方ありませんが、ジムニーは納車半年待ち、シエラは1年待ちという状況だそうです。スズキはどの自動車メーカーよりもコストダウンを徹底するメーカーですが、ジムニーのようなクルマも販売を続けてくれるのは頭が下がります。

  • ご無沙汰しております。イグニス絡みでメッセージさせて頂いたリムです。ジムニー僕も試乗してきました。コンパクトオフローダーとして完璧といえる仕上がりで感動すら覚えました。シフトに関しても、過去のジムニーとは雲泥の差で素晴らしかったです。シエラは乗られましたか?僕は比較試乗したのですが、更に普通できちんと乗用車でした。やはり軽のトレッドはいびつなんだとかんじました。脚回りもしなやかです。結果シエラ購入に決定しました。週末に契約してきます。

    • リムさん、こんにちは。
      お久しぶりです。

      結局、シエラにされたんですね。
      素晴らしいチョイスだと思います。
      北海道は林道も多いですし、最強のクルマでしょう。
      長い冬場の事も考えたら、これ以上の頼もしい相棒は無いでしょうね。

      今回のジムニーは悪路走破性のみならず、オンロードの走りの質感の部分も格段に向上していますので、雪のない季節も楽しくドライブできるかと思います。
      恐らく耐久性に関しても、イグニスとは雲泥の差でしょうね。
      特に雪道は、チェーン跡の洗濯板状態がモノコックボディに与えるダメージは結構大きいと思います。
      普通の乗用車ではボディのヤレも早いでしょうから、その点シエラならば安心して突っ込んでいけますね。

  • お久しぶりです、鈴菌中毒者の「腕立て500」です。
    今日「スズキアリーナ三田店」まで足を伸ばして、今乗っているエスクード2.4の後継車の候補としてシエラ5MTに試乗してきました。
    試乗コースは一般道だけでしたが、起伏に富んだコース設定(三田はどこを走っても起伏がありますが・・・)で、新たに搭載されたK15Bのパワーやトルクを体感するにはちょうど良かった。
    ステアリングダンパーの新規採用により、直進時の中立付近でのハンドルの落ち着き、荒れた路面でのワンダリングの少なさ(ジムニー未経験者には何だこの動きは?と思うことでしょうが・・・)を体感出来ました。
    ただ残念なことに、試乗は距離・時間も短く、これからというタイミングで終わってしまいました。
    乗り換えの候補に入れるには、もう少し長い時間乗ってみないと何とも言えないです。
    目下候補は、海外で一足先に一部公開されたビターラS(エスク-ド1.4)の改良版です。ワールヅプレミアはH30/10頃?
    日本国内販売は今年の年末~来年?らしいです。

    因みに私は過去に以下3台のジムニーに乗り継いできました。
    現エスクード2.4はJA22Wの後継です。

    JA11(F6A OHCタ-ボ58PS 前後リーフ) H3/6~H5/6
    JB31(G13B OHC2バルブ 70PS 前後リーフ)H5/6~H7/6 初代シエラです。
    JA22W(K6A DOHCタ-ボ 64PS 前後コイルになった初期モデル)H9/9~H21/2

    • 腕立て500さん、お久しぶりです。

      そうでしたか…
      鈴菌感染者のうえに、ジムニー中毒者だったんですね?!
      これはこれは、相当に感染が進んでますねぇ(笑)

      今回の新型ジムニー/シエラはオフローダーとしては完璧な出来だと思いますが、オンロードでの快適性や運動性能は、言うまでもなく現在お乗りのエスクード2.4のほうが格段に上だと思います。

      ただ、新型ジムニーは運転してて、なんだかすごく楽しさが感じられたんです。
      オンロードでも楽しさと言う観点ではエスクード2.4を超えているかもしれません。

      エスク-ド1.4とシエラとでは楽しさのベクトルが全く違うと思いますが、現状のジムニー/シエラの納期の長さを考えるとエスク-ド1.4の改良型が無難でしょうかねぇ…
      ただシエラは次に乗り換える時の値落ちが少ないでしょうし…
      非常に悩ましいところですね。

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