【新車試乗】 三菱 ミラージュ試乗 三菱暗黒時代の負の遺産?

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もはや打つ手なしか? それとも…

今回は、のぶさんからリクエスト頂きました、三菱ミラージュを試乗してきました。
試乗させていただいたのは、上級グレードの「G」となります。

一時は巨額の赤字を計上し、倒産の危機に瀕していた三菱自動車を経営的に立て直したのは、まぎれもなく益子社長(現CEO)でしょう。
その益子社長の次なる一手として、肝いりで(恐らく)開発されたのがミラージュです。

発売当初のコンセプトは、新興国の方でも手が届きやすい低価格で、実用性と燃費の良さを兼ね備えたコンパクトカーという事だったかと思います。
内外装や走りの質感は割り切って自然吸気の軽自動車並みの価格で発売したことは、当時はそれなりのインパクトがあったとは思いますが、この6年間で軽自動車も目覚ましい進歩を遂げています。

相対的に質感の低さが問題となってきて幾度かの改良が加えられましたが、そのたびに価格も上昇してしまいました。
最新のモデルは、上級グレードで約150万円、下級グレードでも約140万円ですので、決してリーズナブルな価格とは言えません。

競合となる「スイフトXGリミテッド」は、ミラージュの上級グレードとほぼ同価格で同様の装備内容ですが、走りの質感はスイフトが圧倒的に上でしょう。
(スイフトの1.2リッターモデルは試乗経験がありませんが、バレーノスイフトフルハイブリッド の試乗経験から断言できます)

今回の試乗でハッキリしたのですが、ミラージュは益子社長の一存でしょうが、根本の部分が非常に安普請に作られています。
どうも、益子社長はクルマのドライビングフィールなどはどうでもいいと考えている節がありますね。
いくら低価格車でも、この剛性感の無さで良しとしてしまうのは、クルマの事や三菱自動車独特の持ち味について理解が足りないと言わざるをえません。
完成したクルマを評価する「目」も、残念ながら持ち合わせておられないようです。
益子社長は優れたエコノミストであっても、優れたクルマ人ではないようです。
つまり、いかにリーズナブルなクルマを目指すとしても、決して手を抜いてはいけない部分があるという事が、全く理解できていなかったのだと思います。

恐らく、燃費データ偽装時の時と同じように、車両重量に関しても強圧的に、必達目標として開発陣に提示されていたのではないでしょうか?
その結果が、この剛性感の低さではないかと僕は想像しています。

燃費データは測定しなおせばいいでしょうが、プラットフォームは容易に作り直すことはできません。
今後の三菱車はルノー/日産連合とプラットフォームを共用しますので、このミラージュのプラットフォームはお蔵入りとなる事でしょう。
ハッキリ言って失敗作です。
当時の開発陣は、エコノミストの不条理な要求に苦しまれたことでしょう。
たしか、エクリプスクロス の開発チームでは自殺者まで出ましたね。
お気の毒です。

ですが、前回試乗した エクリプスクロス は素晴らしい走りの質感でしたので、益子社長(現CEO)の開発部門への影響力は弱まっているのではないかと思います。
今後の三菱自動車と次期ミラージュには大いに期待できそうです。

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外観デザイン

評価:★★

ミラージュというクルマは、初代から一貫して「スポーティーなコンパクトハッチ」というイメージでしたが、この6代目ミラージュは、ぼってりと分厚いフロント周りや腰高感が感じられるサイドビューなど、およそミラージュという名にふさわしいデザインではありません。
個人的には「ミラージュ」と名乗って欲しくなかったと思います。

唯一、リアデザインはミラージュらしくスポーティーで小粋な印象です。
故に星2つとさせていただきますが、全体的には単純な面構成で見どころは少ないです。
エコノミストの視点では、これで充分なのでしょうがね。

初期モデルよりも精悍かつ上質にはなりましたが、元々のプロポーションが鈍重ですので、厚化粧でごまかしているような印象です。

ヘッドランプ周りは、ダイナミックな造形で迫力も感じられるのですが。

初期モデルの安っぽいフロントフェイスよりは、随分とマシにはなってます。

ですが、ボンネットが高すぎて、ぼってりとした厚みが感じられます。
対人衝突安全を考慮したのでしょうか?
それにしても、ここまでの厚みは必要ないように思うのですが…
フロントのダイナミックな造形に対して、フェンダー部はあっさりしすぎているようにも感じられます。

ボンネット高をあと3~4センチ落としたら、随分とスマートなデザインになるかと思います。

リアフェンダー周りも抑揚が無く、鈍重な印象です。
ウエストラインをもう少し下げたほうが良かったでしょうね。
ボディの厚みが感じられるぶん、タイヤが小さく見えてしまいます。

ボディサイドは平板です。
もう少し面構成をこだわらないと…
一昔前のトヨタ車のようなペナペナな印象です。

おや?
この角度から見ると悪くないですね~

リア周りは、なんとなくミラージュをイメージさせられるデザインです。

真後ろから見ると、これはもうカッコいいと言えるデザインです。

う~ん、これはいいですよ!
凄くスポーティーな印象です。
フロントデザインもスポーティーなものにして、フロント、リアのフェンダー部分をオーバーフェンダーにしたら、鈍重な印象も無くなって素晴らしくカッコいいクルマになりそうです。
三菱さん、こうなったらスポーツグレード作りましょう!
益子社長も、ただのCEOになりましたので、今がチャンスですよ!

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内装

評価:★★★★

内装の質感は、最近の三菱車の例にもれず非常に高いものです。
Aセグメントの中では断トツの質感と言えましょう。

さすがに デミオ のクオリティには及びませんが、スイフトフィット に近い質感を持ち合わせています。
よくよく見ると安っぽい部分も散見されるのですが、非常に上質感とセンスの良さが感じられます。

黒一色で、遊び心やポップな感じはありませんが、クラスを超えた上質感が感じられます。

よくよく見ると、プラスチック素材に若干の安っぽさは感じられるのですが、非常に頑張っていると言えましょう。

デザインにも配色にも、落ち着きが感じられます。

インパネセンターは、操作性、視認性ともに良好です。
ピアノブラックのパネルも高級感が感じられるような質感です。

シフトノブ周りの質感も良好です。

ステアリング径は、このクルマのキャラクターに合ったものです。
握り心地、皮の質感も上質なものでした。

最近の三菱車の内装は素晴らしいと思います。
もう少し、遊び心とか冒険するような部分があってもいいかとは思いますが。

Aセグメント車とは思えないほどのクオリティです。

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居住性、ユーティリティー

評価:★★★

このコンパクトな外寸から想像するよりも、随分とゆとりが感じられる居住空間とトランクスペースでした。
パッケージングは非常に優れています。

スイフト並みのトランクスペースです。
クラスを考えると充分以上の広さがあります。

横方向の余裕はあまり感じられませんが、外寸幅が5ナンバー枠いっぱいではありませんので、致し方ないでしょう。
充分なトランクスペースです。

フロントシートの掛け心地は、特段印象に残るものではありませんでした。
逆に言うと気になるところもありませんでしたので、普通によくできたシートと言っていいでしょう。

後席足元も スイフト 並みの余裕があります。
デミオ よりは確実に広いです。

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走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★

ジャトコ製の副変速機付きCVTは素晴らしい出来栄えだと思います。
レシオカバレッジが7.28もありますので、限られたエンジンパワーを無駄なく引き出している印象です。

ちなみに、スイフト の1.2リッター車に搭載されているジャトコ製CVTも、このミラージュとほぼ同一スペックですので、全く同じものが使用されているようですね。

搭載されているエンジンは、3A92型 3気筒DOHC MIVECエンジンとなります。
吸気側に可変バルブタイミング調整機能が付いていて、EGR還元機構は搭載していませんが、低負荷時にはバルブを遅閉じとすることで、アトキンソンサイクルに近い効果を狙っています。

ボア 75.0mm に対して、ストローク 90mm ですので、相当なロングストロークエンジンです。
そのわりに圧縮比が10.5とあまり高くないのは、新興国での使用を想定して安全マージンを多めにとっているのではないかと思います。
国内向けに仕様変更(ピストン高を変えるなど)すれば、もっと出力向上できるだけのポテンシャルは持ち合わせているでしょう。

ロングストローク&3気筒の効能でしょうか、低速トルクは分厚く感じられますので、街中では非常に乗りやすいです。
ですが、低回転から高回転まで、エンジン音と振動は大きく感じられます。

2000回転より上の回転フィールはそこそこの滑らかさがあるのですが、安っぽい3気筒サウンドが常に付きまといます。

同じ3気筒エンジンで比較すると、トヨタのルーミー に搭載されている 1KR-VET や、スズキのスイフトRSt  に搭載されている K10C よりも、明確に質感が劣ります。
現代の水準では「ガサツなエンジン」との評価となってしまいます。

また、出足はいいのですが、1.2リッターとしては他社よりも低い出力ですので、高い速度域では若干の力不足も感じました。

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走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★

街中などの低い速度域では、あたりが柔らかくて快適に感じられる部分もあるのですが、高速域や大きな段差に遭遇すると馬脚を現します。

いなしの質感に雑味が感じられますし、高速域では常に細かいピッチングが発生します。
直進安定性は悪くないのですが、非常に安っぽく、不快な乗り味です。
これはシャシー剛性が低いクルマの乗り味です。
今までの三菱車では考えられなかったことです。

余談になりますが、僕がまだ髪の毛がフサフサだった頃(20年ほど前ですね)、僕の父はそれはもう頑固な三菱党でした。
当時の僕は「ホンダのほうがいいんじゃ…」と思っていたのですが、今になってみると父がなぜ三菱車にシンパシーを感じていたのか理解できます。

当時から「過剰品質、オーバークオリティ」と言われていた三菱車ですが、これは兵器なども製造している三菱重工のDNAが息づいていたのでしょうか?
実際に運転してみても、当時の他社のクルマと比べても明確にがっしりとした感じがありました。
当時のT社やN社の一部車種はペナペナの頼りなさで、高速道路を走行すると恐怖すら感じさせられるレベルのものが存在していましたが、父親が所有していた2代目パジェロやリベロなどは、非常にボディというかシャシーの剛性感が感じられ、高速道路をかなりのペースで飛ばしても全く不安感が感じられませんでした。

その三菱車の持ち味は、ギャランフォルティスあたりまでは存在していたはずですが、僕はこのミラージュを試乗して、あまりの剛性感の無さにビックリさせられました。

このクルマに「ミラージュ」という名前はふさわしくないですが、三菱自動車のエンブレムもふさわしくありません。
先達が長年かけて築いてきたものを、ぶち壊しにしていいんでしょうか?

いままで東南アジアや台湾などで、なぜ三菱車が熱狂的に支持されてきたか?
益子社長(現CEO)は理解されていたのでしょうか?
理解されていたのならば、このような出来とはならないはずです。
クルマは、燃費や車両重量などのカタログスペックのみで選択される商材ではありません。

サスペンションアッパーの強化程度では、この出来の悪いシャシーをモディファイすることはできないでしょう。
残念ながら、このクルマは終わってます。

実際の走行フィールは、こちらの動画をご覧ください。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

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総合評価

評価:★

同クラス他車と比較して、何らのセールスポイントも持ち合わせていません。
顧客もよく分かっているのでしょう、販売実績が物語っています。

何か一つでも抜きんでた部分、三菱車らしい部分があれば三菱ファンは購入していたでしょうが、さすがにこの出来では熱狂的なファンでも買えません。

このような失敗作となってしまった原因は、益子社長(現CEO)の引き際の悪さにありましょう。
経営を立て直した時点で、現場を熟知した、熱き三菱魂を持ったクルマ人にバトンタッチすべきでした。

もはやこのクルマは、見た目の品質を向上させたところで販売が上向く可能性はゼロでしょうね。
となれば、昔からの三菱ファンが喜ぶようなスポーツグレードを造るしかないでしょう。
エンジンを直噴ターボ化して、徹底的にシャシー補強を施せば訴求力のあるクルマになりそうです。
東南アジアの熱狂的な三菱ファンにも受け入れられるのではないでしょうか。

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コメント

  1. のぶ より:

    やまねこさん、こんにちは
    ミラージュのレビューありがとうございます。
    期待が無かったわけではないですが、やっぱりかという感じですね。

    おそらくご存知ないとおもいますが、以前三菱とボルボ(だったかな)の共同開発したカリスマという全くカリスマ性のない車を父からもらい乗ってましたがいい車でした。
    GDIのアイドリングの不安定さはひどかったですが、シートの出来がよく直進安定性も申し分ないものでした。
    カリスマの前も父はシャリオに乗っており、あちこち連れて行ってもらって楽しかった記憶があります。
    その後は母のコンパクトカーを探しに試乗巡りをしてコルトに落胆して以来三菱とは縁がありません。
    おもえばあの頃から何かがおかしかったのかもしれませんね。

    • やまねこ より:

      のぶさん、こんばんは。
      カリスマはよく知っていますとも。
      当時カリスマとボルボV40に関係する仕事に携わっていたことがありますので。
      危うくオランダに転勤になるところでした。
      カリスマの開発にあたっては、三菱の技術陣も非常に貴重な知見を得られたようです。
      商業的には成功したとは言えませんが、三菱にとっては得るものが大きかったのではないでしょうか。

      コルトはいかにもダンパーの容量が足りないような乗り味で、路面状況がいいところではそんなに悪い印象は無いのですが、大きな段差の「ガツン」という突き上げは酷いレベルでした。
      今考えると、三菱らしい質実剛健なクルマは、コルトよりも前のモデルまでだったように思いますね。
      三菱は現場の技術者のレベルは高かったように思うのですが、経営者が暗愚なためにすべてを台無しにしてしまったように思います。
      三菱の経営を立て直したと評価されている益子社長(現CEO)も、技術陣に対して自身の価値観を強圧的に押し付ける方だったとの定評です。
      燃費データ偽装に関しては、益子社長(現CEO)の責任が大きいでしょうね。

  2. より:

    やまねこさん、のぶさん、こんにちは。
    ミラージュはやはり、期待通り?の出来の悪さでしたね。同じタイ生産のマーチと比較試乗してみてはいかがでしょうか?現行のマーチは乗ったことが無いのですが、マーチは欧州でも販売されているのでミラージュよりは完成度が高いのかなとは思います。
    デイズルークス(ekスペース)が予想外に出来が良かったので、旧式のプラットフォーム流用がかえって良かったのかもしれません。軽乗用車にしてはかなりの重量級ですが…。

    • やまねこ より:

      あ さん、こんにちは。
      ミラージュは三菱にとって一番厳しい時期に開発されたクルマですので、あのようなコンセプトと造りになってしまったのは、やむを得ない面もあったかと思います。
      ですが、長い目で見ると、もっと骨太な造りにしたほうが良かったでしょうね。
      この出来では、根強い三菱ファンもそっぽを向いてしまいます。
      マーチは…
      先代まででしたら興味ありましたが、現行はいかにも安普請で、それでいて価格もそんなに安くないというクルマですね…
      機会があれば試乗してきます。
      最近プライベートな事情でバタバタとしておりまして、なかなか試乗もおぼつかない状況です。
      夏までには落ち着きそうですが…