【新車試乗】 ダイハツ COPEN Cero 試乗 S660のライバルたりうるクルマ?

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最低最悪のモデルチェンジ

初代コペンは2002年6月の発売でしたので、もう16年も前の車になります。
初代はアウディTTクーペの影響を強く受けていたであろうと思われますが、非常に斬新かつ大胆で、細かなディテールに頼らずに、張りのある面で構成されたデザインは素晴らしいものでした。
内装も軽とは思えない程の高級感とデザインで、素晴らしくスポーティでした。

いまだに、ちょくちょく街中で見かけるという事は、長く愛されているという事でしょう。
現代の基準で見ても素晴らしいデザインであると思います。
可愛さ、カッコ良さ、ワルっぽさの全てを、絶妙なバランスで兼ね備えていました。

それに対して、2014年6月に登場した現行モデル(ローブ)には、非常にガッカリさせられた記憶があります。
煩雑なプレスラインや、ヘッドライトとリアコンビネーションランプの奇抜なグラフィックなど、筋の通ったデザインポリシーが全く感じられないもので、醜さすら感じさせられました。
内装も酷いもので、デザインも質感も、初代コペンよりも大幅に劣化していました。
おまけにエンジンも、ウルトラスムースでカミソリのような4気筒JB-DET型から、3気筒のKF型エンジンに変更されてしまっていました。

当時は、「よくもまあ、こんな内容で発売できたもんだな…」とあきれ返ったもんです。

故に、それ以降はコペンに関しては全く興味を無くしていました。

【試乗の価値すらないクルマ】

僕の中ではその認識だったのですが、当ブログ常連の「あ」さんから、現行コペンの試乗リクエストを頂きましたので、記事とさせていただきます。
グレードは「COPEN Cero」の標準モデルとなります。

僕の想像ですが、恐らく「あ」さんも現行コペンに関しては僕と同じような認識で、
「どれほどまでに酷い出来なのか?」との興味をお持ちだったのではないかと思います。

最初に結論を申しますが、今回はかなりの酷評記事となります。

現行モデルのオーナーさんや、僕の酷評が気に入らないという方は、ご覧になられないことをお勧めします。
あくまでも僕個人の主観ですので、ご容赦願います。

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外観デザイン

評価:★★

このデザインは、初代コペンに対する冒とくです。

この「COPEN Cero」には、初代のデザインを現代風に、美しく昇華させる使命があったはずですが…

フロントとリアのランプのデザインを真似ただけで、全体的なプロポーション、細かい部分のディテールは似ても似つかないものです。

全体的に妙に腰高で鈍重に感じられるのは、フロントフェンダーの盛り上がりと、斜め上に跳ね上がったボディサイドのプレスラインが主な原因でしょうが、フロントエンドとリアエンドの大胆な落とし込みが無くなっているのも原因でしょう。
初代の見た目の重心の低さや、幅広感は完全に無くなっています。

他にも、部分部分のデザインでボリューム感を出そうとしているのでしょうが、妙に筋肉質に感じられて、可愛さもカッコ良さも、ワルっぽさも、何も感じられません。

初代コペンがモチーフにしたであろう、アウディTTクーペのデザインは、代を重ねるごとに美しくスポーティーなものに進化していっているのですが…
それもTTクーペのアイデンティティーを守りつつです。

まあそれでも、ベース車の「COPEN Robe」よりは随分とマシですので、星2つとさせていただきますが、デザインだけで購買欲を掻き立てられた初代コペンとは、比べるべくもない低いレベルと感じられました。

なんでフロントフェンダーを盛り上げるんでしょう?
初代のなだらかにラウンドしたフェンダーは、非常に美しいものだったのに…

このフロントセクションのデザインで美しく見せるためには、ボンネット高を5センチは下げないといけないでしょうね。

どうです?
このデザインのままホイールアーチとの距離が縮まったら、カッコ良く見えそうに思いませんか?

真正面から見たデザインは悪くないと思います。

妙に腰高で、鈍重に感じられます。
リアセクションも間延び感があります。

このリアセクションのデザインはいただけませんね。
なんだかピックアップトラックのようですよ。

リアエンドを後ろに伸ばしすぎだと思いますし、スポーツカーの場合「プレスラインでスピード感を演出する」などという考えは捨てたほうがいいでしょう。
せっかく量産車よりもデザインの自由度が高いのですから、面構成で勝負すべきです。
S660 は超大胆な面構成です。
エッジの効いたプレスラインも用いていますが、大胆な面構成があればこそ生きてきます。

この角度から見ると、まるでピックアップトラックです。
初代のように大胆に落とし込んだほうが、絶対にカッコ良くなります。

単純な面構成ですね…
初代は単純に見えて、実にダイナミックな曲面だったのですが。

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内装

評価:★

デザイン、質感ともに初代から大幅に劣化しています。
これは酷いと言わざるを得ません。

完全に安物の軽自動車の質感で、新型N-BOX のほうがよほどクオリティが高いですし、S660 とは天と地ほどの差があります。
コペンは標準グレード、上級グレード共に S660 よりも約10万円安いのですが、価格差以上に質感の差があります。

せめて、普段目に付くところや触れるところだけでも上質な質感、見栄えにしないとダメでしょう。
全く配慮に欠けていると思います。

新車の開発時には、必ず役員向けのコンペティションが行われるかと思うのですが、よくもまあ、このような内装が承認されましたね…
誰も意義を唱える方はおられなかったのでしょうか?
だとしたら、ダイハツにスポーツカーを発売する資格はありません。
それほどまでに酷いものでした。

僕もここまで辛辣な事は申し上げたくはないんですが、これはあまりにも酷すぎます。

このクルマの主査がどのような方か存じ上げませんが、最新のポルシェ、アウディなどは試乗されているのでしょうか?
一度でも上質なスポーツカーというものを体験されていたら、この様な酷い内装にはならないと思います。

軽自動車のオープン2シーターという事でコストの制約は厳しいでしょうが、本当に美味しい料理を味わった事のない人間が、「安くて美味しい料理」は造れません。
限られたコストの中で、努力した形跡がまるで感じられませんでした。

フロントシートは平板な座り心地で、恐らくロングドライブ耐性は低いものです。
ステアリングのテレスコピック調整も無く、最後までしっくりとくるドライビングポジションは掴めませんでした。

ステアリングは径が大きすぎますし、皮の質感も低いものでした。
これなら出来のいいウレタンホイールのほうが上でしょう。

インパネセンターはデザイン、質感共に最低最悪です。
初代は高級感すら感じさせる素晴らしいものでしたのに、この酷さはどうしたことでしょうか?
製造コストの削減を狙っての事でしょうか?
ここまで貧相にしないと成立しないスポーツカーなどは発売すべきではないです。

シフトレバー周りの樹脂の質感をご覧ください。
これは酷すぎませんか?
商用車と変わらない質感です。
誰も意義を唱えなかったのでしょうか?
だとしたら、ダイハツという会社は相当に「ダメハツ」になっています。

空調周りの質感は許せなくもないですが、このデザインは実用車然としたもので、およそスポーツカーにはふさわしくないものです。

このサイドレバーはミラとかと同じものでしょう?
顧客をバカにしてるんですか?
怒りすら覚えます。

メーターパネルも最低のセンスです。
初代の上質さ、カッコ良さが全く感じられない、安っぽく稚拙なものです。

助手席前のインパネの質感は許せなくもないレベルですが、スポーツカーとしての非日常感であるとか特別感は、まるで感じられないものです。

ドアの内張りもフツーです。

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居住性、ユーティリティー

評価:★★

オープン時、クローズ時共にそれなりのトランクスペースがある点で、 S660 よりも実用性は高いですが、それ以上に決定的な出来の違いがありますので、この様なものは大した優位性ではありません。

車内は両席の間にドリンクホルダーがある程度で、収納スペースは皆無です。

車内の居住性は S660 と大差ありません。

トランクスペースはそれなりにありますが、実用性を求める方は アルトワークス を購入されたほうが、よほど満足度は高いでしょう。

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走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★

今回はCVT車を試乗したのですが、エンジンとタイヤとの間がゴムで繋がっているような
「ビヨーン」としたダイレクト感の無さで、動力性能自体もスポーツカーとして成立しないレベルです。
のけぞるような加速などは全くありません。
完全に実用車レベルの加速性能です。

アルトワークス とは全く比較にならないですし、 S660 よりも明確に遅いです。

マニュアルミッションならば、もう少しマシにはなるでしょうが、実用車の域は出ないでしょう。
たとえ遅くともフィーリングが良ければいいのですが、ブリッピング時にはそこそこ好印象の3気筒KF型エンジンも、実際の走行ではアイドリング+αでガサツな振動が感じられますし、フケ上がりも重々しさと言いますかフリクション感が感じられます。
エンジン音も安っぽい3気筒エンジンそのものです。

エンジン、ミッション共に、スポーツカーらしい気持ちよさや爽快感が感じられる要素は皆無でした。
これが実用車であれば許せるレベルなのですが、スポーツカーのパワートレーンとしては失格です。

初代コペンの4気筒JB-DET型エンジンとは比較になりません。
初代をお乗りの方は大事に乗り続けて下さい。
まかり間違って新型に乗り換えでもしたら、間違いなく失望されることでしょう。

実際のエンジンフィールは、ブリッピング動画でぜひご確認ください。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

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走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★

オープン2シーターとしてはボディ剛性は高いです。
S660 よりも多少劣る程度ですので、充分に剛性は出ています。

ですが、サスペンションのセッティングが最悪で、せっかくの高いボディ剛性を台無しにしてしまっています。

全くストローク感のないセッティングで、小さな段差でも常に「ゴツゴツ」と鋭い突き上げがあります。
突き上げのカドは丸められてはいますが、乗っていて非常に不快で、段差のいなしの質感も非常に低く、まるで商用車のような「バタンバタン」といった感じの乗り心地です。

大きな段差ともなると、車体も乗員も大きな揺れに襲われます。
路面が鏡のようなところでは、ロールも少なくてスポーティーに感じるかもしれませんが、山奥のワインディングロードなどでは路面が荒れているところが少なくないですので、安心してコーナーを楽しめるようなセッティングではありません。

ステアリングフィールがどうこう言う以前の、あまりに稚拙なセッティングと言えます。

上級の「S」グレードならばこのセッティングでもいいかもしれませんが(それでも質感が低すぎますが)、標準グレードはもっとしなやかにストロークさせるべきです。
このボディ剛性があれば、サスペンションが柔らかくても全く破たんのない、気持ちのいいセッティングが可能なはずなんですが。

なぜこのようなガチガチのサスセッティングにしてしまったんでしょうか?
「スポーティー」の意味を履き違えているように思えてなりません。

ちなみに、 アルトワークス のほうがさらに硬いアシなのですが、こちらは硬いなりにたっぷりとストロークさせています。
それ故に、大きな段差でも底付き感無く、全く不安感を感じさせません。
コペンの場合は全くストローク感が感じられませんので、安心してコーナーに突っ込んでいけないんです。

さらに言うと、 S660 の信じられないような懐の深さとは全く比較対象になりえません。
この様なレベルの低いサスペンションは今まで遭遇したことが無いです。

試乗動画で伝わりますでしょうか?酷い乗り心地です。

僕のYouTubeチャンネル も、閲覧&チャンネル登録して頂けましたら幸いです。

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総合評価

評価:★

よくもまあ、このような出来で「コペン」の名を名乗れましたね。

初代コペンは運転経験が無いのですが、ここまで酷い乗り味ではなかったはずです。
初代はボディ剛性が「ユルイ」と言われていますが、現行コペンがこの出来であれば、初代にボディ補強を施したほうがよほど満足感が高いと思われます。

初代の4気筒エンジンは素晴らしいものですし、初代の内装は素晴らしい出来栄えでした。
外装は言うまでもありません。

現行コペンも「気軽に乗れるオープン2シーター」としてならば存在価値は見いだせるかもしれませんが、エンジン、ミッションにはスポーツカーとしての資質がありませんので、サスペンションももっとソフトにして、「スポーツカー」という定義を除外すれば、あるいはそれなりのクルマになるかもしれません。

現状の仕上がりでは、とてもお勧めできるクルマではありませんでした。
開発の時点で、どのような客層に向けて、どのようなクルマを造るのか?
そのコンセプトがあいまいなまま、「スポーツカーとしてアシはこうでなくては」などと短絡的な考えに陥った結果が、この出来に表れているのでしょう。

初代と比べてエンジンに歴然とした違いがあるのですから、もっと気軽に乗り回せる「ユルイ」クルマにすべきでした。

この出来で、月販200台程度売れていることは奇跡だと思います。

もし購入を検討されている方がおられましたら、是非とも S660 や アルトワークス と比較試乗してみて下さい。
恐らくコペンは購入対象から外れることでしょう。

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コメント

  1. より:

    やまねこさん、こんばんは。
    新型コペンの試乗ありがとうございます。
    私は、やまねこさんとは逆に新型は運転した事は無いのですが、初代は運転した事はあります。初代はL700系ミラ/L900系ムーヴベースのシャシー、新型はLA100系ムーヴベースのシャシーとなっていますが、乗り心地はどちらも良くは無さそうですね。初代はオープンにした時はボディ剛性不足で、ボディはギシギシ、サスペンションはガタガタしていましたが、それでも許せる魅力はありましたが、新型はそれは無いと思います。私が乗った初代のJB-DETターボエンジンとトランスミッションはマニュアルモード付の4ATですが、トルクは小さいですが、高回転のパンチがたまりませんでした。新型は燃費やコストダウンの為か3気筒ターボにCVTになってしまったので走りの質は低下してしまったようです。内外装も初代と比べて劣化してしまったようです。あと、初代にはテレスコピックステアリングが装備されていましたが、新型では廃止されています。やまねこさんは本当は乗りたくなかったのでしょうが、私のリクエストを聞いていただいてありがとうございました。

    • やまねこ より:

      あ さん、こんにちは。

      乗りたくなかったなどという事はありませんので、これからもどしどしリクエスト頂けたら幸いです。
      僕も怖いもの見たさで、一度試乗してみたいと思っていました(笑)

      本当はあまりネガティブな記述はしたくないんですが、記事を書いているうちに沸々と怒りが沸き上がってきてしまいまして…
      このクルマからは「コペン」というブランドに対しても、顧客に対しても、情熱や愛情が一切感じられなかったからだと思います。

      旧型はボディが剛性不足だったかもですが、あばたもエクボと言いますか、キュートで精悍なスタイリングやキレッキレのエンジンなど、欠点を補って余りあるだけの魅力があったと思うんです。

      余談になりますが、僕はJB-DET4気筒ターボエンジンは、シャレードデトマソの車検の時の代車で(ミラアヴァンツァート)、丸一日乗り回した経験があります。
      レスポンスも素晴らしかったですし、絹のように滑らかに一気にレッドゾーンに向かってフケ上がるフィーリングにノックアウトされました。
      (レッドゾーンも今では考えられない 8500回転!です)

      予定を変更して、クルマを返却するまでワインディングロードでガンガン飛ばしまくってしまったんです。
      高回転での、タービン音も入り混じった「キュイーン」という甲高いサウンドは、たまらなかったですね。
      返却の際、思わず「デトマソと交換してください!」って言いそうになりました(笑)
      シャレードデトマソも素晴らしいクルマだったんですが、エンジンフィールはJB-DETのほうが断然スポーティーでしたね。

  2. MAXI より:

    初めまして。偉そうな言い方ですいませんが、こういう正直なレビューを待ち望んでおりました。自動車評論家なんて接待漬けのアホ共の書いたレビューなんて、ヨイショばかりで何の参考にもならないので、こうした包み隠さずなスタンスは非常に助かりますし、なにより読んでいて楽しいです。これからも、この容赦の無いスタンスでお願いいたします

    新型が発表された時、ものすごく安っぽくなっていてガッカリしたのを覚えています。これじゃあ初代の中古が値落ちしないのも無理は無いと思っていましたが、成程。デザインだけではなかったと・・・想像以上の酷さですね。3気筒にして、こんなレベルの低い内装にして、デザインは糞。あからさまな劣化なのに定価は下がらない。魅力ゼロ。これはそっぽを向かれて当然ですね(笑)

    ローヴのデザインには自信があるから決別したのではなかったのか?あまりの不人気から、あからさまに先代の威を借りたCeroをポンッと出すあたり、開発陣にポリシー・プライドなど欠片もないというのがよくわかりますね。それもこんな、中華のコピーレベルで出すなんて、ふざけていますよ(怒)リメイクしたフォード・サンダーバードより酷いです。

    これは逆効果でしたよね。これで「初代を超えるモノはもう作れない」と自ら証明したようなものなのですから。あぁ~初代コペンはいつかは乗りたいと思える数少ない車だったのに、今後もボッタ値のままとは本当に残念です(泣)

    • やまねこ より:

      MAXIさん、はじめまして。
      コメント頂きましてありがとうございます。

      現行コペンのプロによる酷評記事は見かけたことが無いのですが、僕の主観では逆に褒める部分が皆無でした。
      仮に僕がプロのジャーナリストで、このクルマの提灯記事を書かなくてはならないとなったら、相当に頭を抱えると思います(笑)

      情報が氾濫している現代では、やはり物事の真贋はご自身で体感されて判断されるのが確実だと思います。
      ただ、MAXIさんとか僕とか、このブログのクルマ好きの常連さん達がインプレしたら、たぶん皆さんが酷評されるのではないでしょうか。

      これならば、初代コペンを最新技術で完璧にリメイクしたほうが良かったのではないでしょうか?
      もはやJB-DETの生産設備も無くなっているかと思いますが…