【新車試乗】ホンダ S660 試乗 軽唯一のミッドシップオープンはリアルスポーツカーなのか?

記事内広告PC

軽自動車でミッドシップのリアルスポーツカーは成立するのか?

当日は7DCTのスポーツハイブリッドを体験してみようとホンダディーラーに赴いたのですが、あいにくフィットもフリードも試乗で出払ってしまってまして、仕方なく帰ろうかとお店を出たところ、駐車場に停まっているS660の試乗車を発見したんです。

以前から一度は試乗してみたいと思っていましたので、

「完全な冷やかしですけど、S660に試乗させてもらってもかまいませんか?」

と、なかば強引に試乗させていただきました。
(快くOKしていただけましたが)

このS660は、1991年に発売されたビートの後継車と言っていいかと思います。
ミッドシップオープン2シーターというディメンションは同じですが、大きな違いはNA高回転型エンジンからターボエンジンとなった点です。

オープンカーは剛性確保の必要性からどうしても車両重量がかさんでしまいますので、ターボ化はやむを得ない判断でしょう。
本来はS2000のような超高回転型VTECがスポーツカーにはふさわしいと思うのですが、64馬力の自主規制もありますので現実的ではありません。

エンジンはNシリーズからの流用ですが、それ以外のミッドシップの専用シャシーと4輪独立ストラットサスペンションはS660専用に開発されたものです。
今のご時世に凄く贅沢なことだと思いますが、追加モデルとして噂のS1000も最初から見据えたうえでのことかもしれませんね。
おそらく、S1000は海外でも発売するのでしょう。

今回の試乗は市街地が中心でしたが、速度レンジの高い幹線道路で何度かフルスロットルも試させていただきましたし、交差点も少し早めの速度で曲がってみましたので、多少なりとS660のポテンシャルは引き出せたのではないかと思います。

外観デザイン

評価:★★★★

どことなくビートの面影を感じます。
恐らく当時としては画期的だったビートへのオマージュが込められているのでしょう。

カッコ良くもあり、可愛くもあり、オシャレにも見えるデザインです。
ミッドシップのお手本のようなデザインで、リアフェンダー周りのダイナミックな造形はスポーツカーらしさに溢れています。
非常によく練り込まれた完成度の高いデザインと言っていいでしょう。

ただ、一点だけ。

斬新さが欠けているかと思います。

ミッドシップオープン2シーターという記号性にとらわれずに、もっともっと自由にデザインしても良かったのではないでしょうか?

昔のホンダ車は、初代CR-X、EG型シビック、インスパイア、レジェンドクーペなどなど、ハッとするような斬新なデザインのクルマが沢山あったものですが…

もともと少量生産のクルマですので、過度に失敗を恐れる必要は無いかと。

ルノー メガーヌクーペのような画期的な斬新さがあれば満点でした。

フロントフェイスは最近のホンダのデザインテイストに沿ったものです。
悪くないと思いますが、もう少しインパクトが欲しいですね。

フロントのフェンダーラインはFD型シビックに似たテイストを感じます。
同じデザイナーが関わっているのでしょうか。

この角度からだとフロントもシャープに見えてカッコいいですね。
リアフェンダー周りのダイナミックな絞り込みも美しく感じられます。

リアのエンジンフードの盛り上がりは、空力特性と全体のバランスを考慮したものでしょう。

ワイド&ローな、とても軽自動車とは思えないダイナミックな造形です。

フロント/リアのオーバーハングが極限まで切り詰められています。
実用車ではあり得ないプロポーションです。

サイドのエッジの効いたプレスラインも、スピード感や流麗さをうまく表現しています。

記事内広告PC

内装

評価:★★★★

およそ軽自動車とは思えない程の高級感が感じられます。
各部スイッチのタッチも節度があって上質なものです。
使用されている素材の一部に若干の質感の低さが感じられましたので星4つとさせていただきますが、充分に「その気」にさせるコックピットでありましょう。

運転席、助手席共にスポーツカーらしいタイトな包まれ感がありながら、決して窮屈な空間ではありません。
また、シートポジションも地を這うように低いので、外観から想像するよりも頭上の空間も余裕があります。
幌を装着した状態で、身長175cmで座高の高い僕(笑)の頭上にはコブシ1つ分ほどの余裕が有りました。

室内はいいもの感で溢れています。
シフトノブの握り心地も最高でした。

ステアリングホイールも完璧な出来栄えです。
メーターパネルはシンプルですが中央にタコメーターを配置したスポーティなデザインです。

シートの掛け心地、ホールド感も素晴らしいものです。
レカロシートほどの拘束感はありませんが、このクルマにはベストマッチかと思います。

インパネのセンターコンソールのプラスチック素材が少し安っぽく感じられました。
他の質感が高いだけに惜しいと思います。

ドアの内張りのカーボン調のパネルも、これはこれで悪くないのですが、この部分がバックスキンなら最高だったのですが。

記事内広告PC

居住性、ユーティリティー

評価:★

2名乗車時は、ちょっとした小さなカバン程度でしたらなんとか車内に置けますが、旅行カバンなどは置き場がありません。
トランクも、フロントボンネット内に食パンが3斤入る程度のスペースしかありませんので、ユーティリティー面では国産車で最低でしょう。

その代償に得られるものも大きいので、ユーティリティーを求める方は他の車種を選択すべきです。

走りの評価 (エンジンとミッション)

評価:★★★

Nシリーズと共通のS07A型エンジンは、回転フィール、エンジン音共にガサツさが感じられます。
軽量化のためでしょうが、いかにもエンジンのブロック強度が低いように感じられる音、振動があります。
レスポンス自体も素早くはありません。
ブローオフバルブ音でスポーツムードを演出してはいますが、基本的にはNシリーズと同じフィーリングと言っていいでしょう。

S660はエンジンが最大のウイークポイントです。

アルトワークスと比較すると、回転フィールの滑らかさ、エンジンの静粛さ、レスポンスの素早さのすべての項目において劣ります。

また、車重が160kgも重いので当然ですが、体感的な加速力はアルトワークスの3割落ちといった感じです。

決して「早い!」と感じられるクルマではありません。
必要にして充分な加速性能といったところでしょうか。

S660に搭載するにあたって、レブリミットは8400回転と、高回転を許容するチューニングが施されているようですが、実際には6000回転以上は急激な頭打ちになって引っ張る値打ちがありませんでした。

これはホンダのチューニングが悪いわけではありません。
諸悪の根源は64馬力の自主規制でしょう。
こんな時代錯誤の下らない規制はとっとと撤廃すべきです。

そもそも64馬力規制が始まったころの軽自動車と比較すると、車体も大きくなってますし、受動的、能動的な安全性も飛躍的に高まっていますので、もはや規制自体になんらの合理性もありません。

軽自動車税の値上げ以降、軽自動車の販売台数は右肩下がりとなっていますので、このような意味のない規制は早急に撤廃すべきでありましょう。

このS07A型エンジンも、基本的なポテンシャルは決して低いものではありません。
バルブ駆動にリフト量を大きく取れるスイングアームを採用していますので、高回転化、高出力化には適したエンジンです。
おそらく、ECUを書き換えるだけで90馬力程度は容易に達成できるかと思います。
そのうえでバランサーシャフトを搭載すれば、素晴らしいスポーツユニットとなることでしょう。

6速MTは精度感、節度感があって、滑らかで吸い込まれるような絶品のシフトフィールでした。

走りの評価 (足まわりとボディ)

評価:★★★★★

絶品の一言です!

これだけ低い車高でありながら、大きな段差も底付き感無く上質にいなします。
ショックもほぼ一発で収束して、揺れ戻し等の余計な動きが驚異的に少なく感じられました。
乗り心地もアルトワークスよりも5割増しくらい良いです。

かといってフニャフニャではなく、恐ろしいまでにビビッドでシャープなハンドリングです。
コーナーでの接地変化も、試乗した限りでは全く感じられませんでした。

これぞミッドシップというハンドリングでありながら、直進時、コーナリング時の不安感も全く感じられません。
オープンボディとは思えない程にボディ剛性も高く感じられました。
ボディが軋んだり、たわんだりする感触は皆無です。

このセッティングは恐ろしく高度なものと思います。

恐らく初代、2代目NSXの開発時の知見が生かされているのではないかと推察します。

総合評価

評価:★★★

エンジン以外は、まさに本格的なミッドシップスポーツカーとして非常に完成度が高いものです。

上級グレードで200万越えの価格も、これだけ専用設計の箇所が多いクルマとしてはバーゲンプライスと思います。
外車でこのクオリティのクルマを買おうと思ったら300万は下らないでしょう。

また、極少量生産ですので、乗り換えの際の値落ちもかなり少ないものと思います。
下取り価格まで考えると、非常にお得なクルマではないでしょうか。

ただスポーツカーとしては動力性能の不足が致命的です。
購入後にECUを書き換えるか、噂のS1000の発売を待つかですね。

僕のオススメは断然、1リッター3気筒直噴VTECターボエンジンを搭載してくるであろうS1000です。

およそ130馬力/20kgmの出力を得て、このS660のシャシー、サスペンションは完全にバランスすると思われますので。

記事内広告PC

コメント

  1. より:

    MT車は専用開発の6速MTなのに、AT車はCVTなのは残念なところです。車自体コストが掛かってるのだから、こういう所はケチらなくてほしかったです。フィットハイブリッドなどの4輪車や、ホンダの2輪車に積極採用しているDCTにしてほしかったです。昔のホンダ車はスポーティで走りの楽しい車が多かったのですが、最近のホンダ車はエコだの、コストダウンに走り過ぎてつまらなくなったと思います。今のホンダの4輪車は余り好きではありませんが、ホンダ2輪車は大好きでホンダ一筋で現在CB1300SBに乗っています。

  2. やまねこ より:

    確かに今のホンダって、ぶっ飛んだクルマが出てこないですよね。

    昔のホンダと言えば、コンパクトカークラスで4輪ダブルウィッシュボーンだったり、自然吸気でリッター125馬力叩き出したり、何かにつけてビックリさせてくれるメーカーでした。

    本田宗一郎氏が存命ならば、今の開発陣は皆スパナで殴られてるでしょうね(笑)